目次
1. 坐薬の種類と基剤の違い
坐薬は有効成分だけでなく「基剤」が重要です。
基剤によって溶け方や吸収速度が異なり、順番や間隔の指導に直結します。
- 脂溶性基剤(例:Witepsol®)
→ 体温で溶ける。溶解後は粘膜から速やかに吸収されるが、腸内容物の影響を受けやすい。 - 水溶性基剤(例:PEG系)
→ 水分と混ざって徐々に溶ける。作用発現は脂溶性より遅め。
坐薬を併用する際は、
水溶性の基剤のものを先に挿入し、30分以上間隔をあけてから油脂性の基剤のものを挿入します。これは、油脂性の基剤が先に入ると、後から挿入した坐薬の有効成分が油脂に溶け込み、効果の発現が遅れるのを防ぐためです。
水溶性基剤は体液に溶けて薬を放出するため、室温保管が可能ですが、脂溶性基剤は体温で溶けるため、多くは冷所保管が必要です。
現場では、「ナウゼリン®(水溶性)」と「アンヒバ®(脂溶性)」を一緒に使うケースが典型例です。
| 基材 | 主成分 | 基剤の種類 | 保存方法 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| アンヒバ®坐剤 | アセトアミノフェン | 脂溶性基剤(Witepsol®) | 冷所保存 | 解熱 |
| ナウゼリン®坐剤 | ドンペリドン | 水溶性基剤(PEG系) | 室温保存可 | 吐き気・嘔吐 |
| ダイアップ®坐剤 | ジアゼパム | 脂溶性基剤(Witepsol®) | 冷所保存 | 熱性けいれん予防 |
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2. 坐薬の使用順序ルール
基剤の違いがあると、先に入れた薬が溶けてしまうのを防ぐため、順番と間隔に注意します。
- 基剤が異なる場合(水溶性→脂溶性):30分以上間隔をあける
- 基剤が同じ場合(脂溶性+脂溶性など):緊急度が高い薬を先に入れ、5〜10分間隔
使用例(現場の指導パターン)
| パターン | 順番 | 間隔 |
|---|---|---|
| ナウゼリン(水溶性)+アンヒバ(脂溶性) | ナウゼリン → 30分後 → アンヒバ | 30分 |
| ダイアップ(脂溶性)+アンヒバ(脂溶性) | ダイアップ → 10分後 → アンヒバ | 10分 |
| ナウゼリン(水溶性)+ダイアップ(脂溶性) | ナウゼリン → 30分後 → ダイアップ | 30分 |
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