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脂質異常症治療薬:スタチン系薬の効果と副作用

スタンダードスタチンとストロングスタチン

スタチンは現在6種類が販売されており、悪玉コレステロールを下げる強さが比較的マイルドな「スタンダードスタチン」と、より強力な「ストロングスタチン」があります。

一般名主な商品名規格
スタンダード
スタチン
プラバスタチンメバロチン5mg, 10mg
シンバスタチンリポバス5mg, 10mg, 20mg
フルバスタチンローコール10mg, 20mg, 30mg
ストロング
スタチン
ロスバスタチンクレストール2.5mg, 5mg
ピタバスタチンリバロ1mg, 2mg, 4mg
アトルバスタチンリピトール5mg, 10mg

臨床試験成績の結果を参考にすると、悪玉コレステロールの低下率は、

  • ・スタンダードスタチン…約15-20%
  • ・ストロングスタチン…約30-40%

ストロングスタチンはスタンダードスタチンの約2倍であることがわかります。

ストロングスタチン内では効果・副作用に大きな違いはない

ロスバスタチンは3剤の中でクレストールは最も用量の幅が広く、最大通常量の8倍である20mgまで増量することができ、より厳格にコレステロールを下げることが可能です。

投与量を8倍にしたら効果も8倍?

残念ながらそうはならず、下表の通り、用量を倍に増やしても6%しか効果が発揮できないことがわかっています。これは俗に「6%ルール」と呼ばれています。

これは、肝臓内でのコレステロール合成を抑えると、今度は代償性に小腸からのコレステロール吸収を増やして血中のコレステロール量を均一に維持しようとする機構が働くため、と考えられています。

3-5. 配合剤について

本来組み合わせて処方されるお薬の成分を1つのお薬の中に配合したお薬のことを配合剤といいます。スタチンには主に2種類の配合剤があります。

スタチンとゼチーアの配合剤

悪玉コレステロールがスタチンの増量だけでは十分にコントロールするのが難しいことはさきほどお話ししましたが、一つの解決法として、小腸のコレステロール吸収を阻害するエゼチミブ(ゼチーア®︎)の併用が注目されています。

スタチンで合成を抑制すればするほど、代償性に亢進する腸管からのコレステロールを抑制することでより強力なコレステロール低下作用が得られます。

最近では、

  • ・リピトールとゼチーアが1粒になったアトーゼット配合錠
  • ・クレストールとゼチーアが1粒になったロスーゼット配合錠

が発売されており、ストロングスタチンだけでは悪玉コレステロールが下がりきらない方へ使用されています。

スタチンとカルシウム拮抗薬の配合剤

脂質異常症(高脂血症)と高血圧は、合併することもしばしばあることから、同時に治療できる配合剤が発売されています。

代表的なカルシウム拮抗薬であるアムロジピンとリピトールの配合剤がカデュエット配合錠(カルシウム拮抗薬のデュエットという由来)として発売されており、すでにアマルエット配合錠というジェネリック医薬品も発売になっています。

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