妊娠中に使える鎮痛剤は?
- 市販薬では、有効成分が「アセトアミノフェン」のみのものを選び、妊娠中の服用についての注意書きをよく確認しましょう。
<お薬別妊娠中使用の比較>

解熱鎮痛剤は、同じ作用に思えても有効成分が違います。妊娠中に使いやすいのは「アセトアミノフェン」という成分です。

解熱鎮痛剤が妊娠へ与える影響とは?
- お腹の赤ちゃんの大切な動脈管を狭くする可能性
- 腎臓に負担をかけやすいものが多く、赤ちゃんの尿が元でできている羊水が少なくなる可能性
があります。
しかし、妊娠後期の赤ちゃんにとっては、このプロスタグランジンがとても重要な働きをするのです。お腹の中で赤ちゃんの動脈管を広げ、血液がスムーズに循環する手助けをしています。
赤ちゃんがお腹にいる時は、へその緒を通してお母さんから栄養や酸素を受け取ります。うけとった血液は心臓の右側に戻ってきます。産まれた後でしたらそこから肺に血液が運ばれて酸素をうけとりますが、胎児は心臓の右側から左側へ動脈管がつながり、ショートカットするようになっています。

解熱鎮痛剤によって動脈管が狭くなってしまうと、本来心臓に戻るはずの血液が肺に多く流れ込み、「肺高血圧症」という病気の原因になることがあるのです。
さらに、解熱鎮痛剤は腎臓に負担をかけやすいものが多く、赤ちゃんの尿が元でできている羊水が少なくなり、その影響で胎児にダメージが及ぶ。
妊娠中は鎮痛剤入りの湿布にも注意
- 妊娠後期には、「ケトプロフェン」(商品名:モーラス・ミルタックス)という成分が入った湿布やスプレー薬は避けましょう
多くの湿布薬では、通常の使用量であれば問題ありません。湿布を貼った場合、皮膚から血液中への成分の移行はごくわずかで、同じ量を内服するのと比較して1%程度です。

片頭痛の薬は大丈夫?
片頭痛の治療で鎮痛剤を使っている方もいらっしゃるかと思います。
片頭痛は母体や胎児が危険となるような病気ではないので、妊娠中は効果の高いお薬はできれば中止し、比較的安全性の高いアセトアミノフェンのカロナールなどを頓服で、痛いときだけ服用するようにした方がよいと思います。妊娠中に片頭痛が自然と和らいでくることも多いようです。

片頭痛治療薬としてよく使われている、トリプタン系のお薬(イミグラン・アマージ・レルパックス・マクサルト)は、今のところ妊娠への悪影響の報告はなされていません。ですが、まだ安全性が確立されていないので、使わない方がよいとされています。