【不眠時に睡眠薬を追加服用すべきか】
結論から申し上げると、睡眠薬の追加服用では教科書通りの半減期にならず、安易に追加服用はしないほうがよいでしょう。やむを得ず追加するのであれば、起床の6~7時間前ということになります。
睡眠薬の適正使用ガイドラインによりますと、「夜間不眠時の睡眠薬の頓⽤は不眠症状に対して⼀定の効果が期待できるものの、その最適な服⽤法(服⽤時刻や⽤量)に関するエビデンスは乏しい。持ち越し効果は消失半減期より⻑く持続する可能性があるため、頓⽤薬は超短時間作⽤型の睡眠薬とし、起床時刻の6〜7時間前までに服⽤することが望ましい」とされています。
つまり、睡眠薬の追加により、薬効として表示されている半減期よりも効果が長く残る可能性があり、翌日日中に活動するときに転倒リスクが上昇したり、活動量が減少するおそれがあるのです。追加服用した人の血中濃度のデータもないため、どのくらい血中に残っているのかも不明なのです。
【睡眠薬の効果と半減期】
睡眠薬の種類は多いのですべてを掲載することはできませんが、代表的なものを記載します。
1.ベンゾジアゼピン系作用薬(BZ薬)
脳の働きを鎮める薬で、GAVAの作用を強めて興奮伝達を抑制します。不安が強い患者さんにも効果がありますが、翌日の眠気や転倒のリスクがあります。作用時間は短時間型で、半減期はハルシオン3時間、デパス6時間、レンドルミン7時間です。
2.非ベンゾジアゼピン系作用薬(非BZ系)
GAVA受容体に働いて脳の働きを鎮め、抗不安作用もありますが、BZ系薬剤に比べると筋弛緩作用が低く、高齢者に比較的処方されます。作用時間は長短時間型、半減期はマイスリー2時間、アモバン4時間、ルネスタ5時間です。
3.メラトニン受容体作用薬
メラトニンに働きかけて体内時計を整え、睡眠と覚醒のリズムを整える薬で、入眠障害に効果的です。ラメルテオンの半減期は1時間です。
4.オレキシン受容体拮抗薬
オレキシンは覚醒を保つ神経ペプチドで、これに働きかけることで脳の過剰な覚醒状態を抑えます。ベルソムラの半減期は約10時間です。
基本的には追加で服用は非BZ系