脱水の症状
脱水状態になると、まず脳の口渇中枢が刺激され、水分の摂取を強く促すのどの渇きが生じます。水分の摂取量が失われる量に追いつけないと、脱水状態がさらに激しくなります。発汗量が減り、尿の排出量も少なくなります。必要な量の血液と血圧を維持するために、水分が細胞内から血流へ移動します(体内の水分についてを参照)。脱水が続くと、体の組織が乾き始め、細胞はしぼんで機能しなくなります。
サイアザイドで血圧が下がる機序
サイアザイドは腎臓の遠位尿細管という部分に働きかけ、塩分(NaCl)の再吸収を阻害することで利尿作用を発揮します。
サイアザイドは利尿薬ですので、まず最初に尿を出して体液量を減らすことで血圧を低下させます。しかし、長期的には血管を拡張する作用も出現してきて、この2つの合わせ技で血圧が下がります。
下の図はサイアザイドを投与した人での血圧と体液量の変化です2)。
上段は血圧ですが、血圧は最初の48時間でガクンと下がった後も、その後も6週間かけて徐々に低下し続けます。
下段は体液量で、こちらも最初の48時間で大幅に減りますが、その後は徐々に元に戻っていきます(完全には戻りませんが)。
先ほど解説した通り、血圧=体液量×血管の硬さなので、48時間以降に体液量が増えても血圧が低下しているのは、血管が拡張しているからなのです。

Am Heart J. 1978;95(5):611より引用
ここから分かる患者さんにとって大事な情報としては、利尿剤を飲むとおしっこの回数が増えて生活に支障をきたすのではないかと思われるかもしれませんが、最初の数日は尿量が増えても、いつまでも尿量が増え続けるわけではなく元に戻るので心配しなくてもいいということです。
また、夜間頻尿があり夜に起きてしまう人は、利尿剤がおしっこを日中にしっかり出してくれるので、夜の尿が減りゆっくり眠れるようになることもあります。実際、泌尿器科でも夜間頻尿の治療の一つに日中の利尿剤治療があります3)。

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