向精神薬とは?向精神薬が持つ役割
「向精神薬」とは、中枢神経系に作用して精神活動に影響を与える薬物群全般のことを指す言葉です。
主に抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、気分安定薬などの総称であり、その取扱いは「麻薬及び向精神薬取締法」によって厳格に規制されています。
向精神薬の主な分類
向精神薬は第1種向精神薬、第2種向精神薬、第3種向精神薬の3種類に分類されます。分類されている理由は治療上の有用性と乱用の危険性によるものです。
例えば、リタリンやコンサータといったメチルフェニデート塩酸塩製剤では、医薬品のリスクや治療の有効性の観点からも、流通管理の厳しい義務が設けられています。
基本的に市場に登場して1年未満の新薬は、処方できる最大期間が原則14日間に限られています。しかし、麻薬や向精神薬の扱いについては、別途、麻薬及び向精神薬取締法で定められています。
向精神薬を処方できる最大期間は医薬品の種類によって異なり、14日、30日、または90日の制限が課せられています。
前項の表からもわかる通り、30日の制限とする薬は最も多く、アルプラゾラム、エスタゾラム、フルニトラゼパム、ブロチゾラムなどがあります。また、90日とされているのはジアゼパム、ニトラゼパム、フェノバルビタールなどです。
なお、ここで紹介した情報は2024年12月時点でのものであるため、将来的に変更となる薬もあるかもしれません。処方日数の制限については、厚生労働省などが発信している最新の情報を確認するとよいでしょう。
向精神薬の中にもハイリスク薬が存在する
ハイリスク薬とは、使い方を誤ると健康被害をもたらす場合もある「とくに安全管理が必要な医薬品」のことです。向精神薬の中にも、ハイリスク薬が存在します。
ハイリスク薬においては、有害事象の発生を防ぐためにも薬剤師による適切な服薬指導が非常に重要です。ハイリスク薬を扱う際には、一般的に下記の点に気をつける必要があります。患者さまへの処方内容(薬の名称、服用方法と量)の確認飲み忘れ時の対応も含めて、患者さまの薬剤服用状況の確認副作用の確認と深刻な副作用が起きた場合の対応策の指導治療効果の評価(適正な投与量の確認、可能であれば検査値のチェック)処方薬や市販の薬、サプリメントや食品との相互作用のチェック
向精神薬の中でも薬物相互作用のリスクが高いなど、とくに安全管理が必要なハイリスク薬については、健康被害発生時に患者自身が適切な対応がとれるような服薬指導が必要であり、留意事項をあらかじめ整理しておくとよいでしょう。