一般名処方「【般】ランソプラゾールカプセル30mg」は、ランソプラゾールOD錠30mg「サワイ」に剤形変更して調剤できる?
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- Aできる。
今回ピックアップする項目は? 「一般名処方の剤形変更」
一般名で書かれた薬を調剤する際に、処方箋に書かれた剤形と「類似する別剤形」に変更できるかどうかは、患者の同意を得ることは前提として、「後発医薬品」であることと「薬剤料が同額以下」であることが基準となります。
(根拠:処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について 第3の4)
一般的名称に剤形及び含量を付加した形で処方せんに記載がなされた場合(以下「一般名処方」という)には(中略)、含量規格が異なる後発医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品への変更調剤は、変更調剤後の薬剤料が変更前のものと比較して同額以下であるものに限り、対象となるものであること。 また、含量規格が異なる後発医薬品又は類似する別剤形の後発医薬品への変更調剤は、規格又は剤形の違いにより効能・効果や用法・用量が異なる場合には対象外とするものであること。
【解説の前に】一般名処方のルール
一般名処方とは、先発医薬品か後発医薬品かという銘柄にこだわらずに医師が処方をおこなっているものです。そのため、薬剤師は処方箋に一般名で記載された処方薬を、先発医薬品と後発医薬品のどちらでも調剤することが可能です。
一般名処方の標準的な記載方法は【般】+「一般的名称」+「剤形」+「含量」です。「一般的名称」は、基本は添付文書における有効成分が用いられますが、これをもとにした既収載品の販売名を参考に一部簡略化した場合もあります。
クイズの解説
一般名処方の場合は、「先発医薬品」でも「後発医薬品」でも調剤することが可能ですが、剤形変更ができるのは「後発医薬品」のみです。つまり、一般名処方の「【般】ランソプラゾールカプセル30mg」を、「先発医薬品」である『タケプロンカプセル30』で調剤することはできますが、『タケプロンOD錠30』で調剤することはできません。一方、『ランソプラゾールOD錠30mg「サワイ」』は「後発医薬品」なので、カプセル剤からOD錠に剤形変更して調剤することができる可能性があります。

点数を計算してみよう!
処方された剤形と「類似する別剤形」に変更できるかどうかは、「後発医薬品」であることの他に「薬剤料が同額以下」であることが条件となります。ここで注意が必要なのは「薬価」ではなく「薬剤料」である点です。
(処方例)
Rp1)【般】ランソプラゾールカプセル30mg 1C
分1 朝食後 14日分
「先発医薬品」である『タケプロンカプセル30』と、「後発医薬品」で剤形変更した場合の『ランソプラゾールOD錠30mg「サワイ」』で比較します。
『タケプロンカプセル30』の「薬価」は39.7円で、『ランソプラゾールOD錠30mg「サワイ」』の「薬価」は20.8円です。
・『タケプロンカプセル30』の場合
薬価 :39.7円(点数で3.97点)
薬剤料:五捨五超入で考えるので、4点×14日分=56点。
・『ランソプラゾールOD錠30mg「サワイ」』の場合
薬価 :20.8円(点数で2.08点)
薬剤料:五捨五超入で考えるので、2点×14日分=28点。(※薬価は2024改定時のもの)
「薬剤料」は、『タケプロンカプセル30』の場合が56点、『ランソプラゾールOD錠30mg「サワイ」』の場合が28点と、剤形変更によって同額以下となるため、この変更は可能です。
こんな類似事例にも注意しよう!剤形変更できる?
以下の場合は変更調剤できるかどうか、考えてみましょう。
- 「【般】トラネキサム酸錠250mg」を『トランサミンカプセル250mg』で調剤
- 「【般】トラネキサム酸カプセル250mg」を『トラネキサム酸細粒50%「TCK」』で調剤
- 「【般】ヘパリン類似物質軟膏0.3%」を『ビーソフテンクリーム0.3%』で調剤
①「【般】トラネキサム酸錠250mg」を『トランサミンカプセル250mg』で調剤:変更できない
『トランサミンカプセル250mg』は「先発医薬品」なので、薬剤料にかかわらず剤形を変更して調剤することはできません。
②「【般】トラネキサム酸カプセル250mg」を『トラネキサム酸細粒50%「TCK」』で調剤:変更できない
『トラネキサム酸細粒50%「TCK」』は「後発医薬品」ですが、剤形変更ができるのは「類似する別剤形」のみです。カプセル剤から細粒剤に変更することはできません(後述)。
③「【般】ヘパリン類似物質軟膏0.3%」を『ビーソフテンクリーム0.3%』で調剤:変更できない
「類似する別剤形」に変更できるのは「内服薬」のみです。外用剤は別剤形に変更することはできません(後述)。
(根拠:処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について 第3の5 )
類似する別剤形の医薬品とは、内服薬であって、次の各号に掲げる分類の範囲内の他の医薬品をいうものであること。
ア 錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
イ 散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る。)
ウ 液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤(内服用液剤として調剤する場合に限る。)

柳田さんからのアドバイス
どこの薬局でも、一般名で記載された処方箋を受け付けることが年々増えていると思います。一般名処方であれば、「先発医薬品」でも「後発医薬品」でも調剤できることは周知の事実かと思いますが、剤形変更についてはどうでしょうか。
一般名処方の調剤時、まずは「同一規格・同一剤形」での調剤を考えると思いますが、在庫がなかったような場合、剤形変更を考えてみてください。別剤形であれば在庫があるということがあると思います。剤形変更によって、患者さんにすぐにお薬をお渡しすることができるようになるのはもちろん、その剤形によっては、もともと処方されていた剤形よりも服用しやすくなることもあります。複数の剤形を在庫している場合には、患者さんの希望に沿ったものを選択することができるので、同意を得る際に確認しましょう。
また、「薬価」は調べればわかりますが、「薬剤料」は計算しないとわかりません。レセコンで「先発医薬品」と「後発医薬品」の両方で仮入力し、「薬剤料」を確認することを忘れないようにしましょう。