ドライアイを放置すると、角膜に傷がついたり、視力低下や感染症のリスクが高まる可能性があります。また、目の痛みや不快感、肩こりや頭痛などの全身症状につながることもあります。
ドライアイが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 角膜の損傷:涙の量が不足したり、涙の質が悪くなったりすると、角膜が乾燥しやすくなり、傷つきやすくなります。
- 視力低下:角膜の表面がデコボコになると、光が正しく屈折せず、視界がぼやけて見えることがあります。
- 感染症のリスク:角膜の傷から細菌やウイルスが侵入しやすくなり、角膜炎や結膜炎などの感染症を引き起こす可能性があります。
- 目の痛みや不快感:ドライアイの症状が悪化すると、目が乾いてゴロゴロしたり、痛みを感じたりすることがあります。
- 全身症状:ドライアイによる目の疲れや不快感が、肩こりや頭痛、集中力低下などの全身症状を引き起こすことがあります。
ドライアイの治療
ドライアイの治療は大きく分けて、お薬による治療と涙点プラグなどの外科的治療があります。
お薬による治療
①ヒアルロン酸点眼液
ヒアルロン酸は化粧水などにも使われる物質で水分を引きよせる性質があります。
角膜表面に水分を保つ作用や、角膜の傷が治るのを助け弾力を生みます。
さし心地がよく、比較的軽いドライアイの方に使われます。
②人工涙液
水分を補う目的で使用します。処方箋なしで薬局で購入できます。
防腐剤が含まれていないものは使用期限が開封後は数日と、短いです。
比較的軽いドライアイ患者さん、他のドライアイのお薬が合わない方、コンタクトレンズ装用中の患者さんに用います。
③涙液補充(ジクアホソルナトリウム)
涙には水分の他に、油分やムチンが含まれています。
これまでの主に水分などを補う治療ではなく、涙液成分自体を増やすという点眼薬です。
点眼回数は1日6回です。さし心地は、少々しみる方もまれにいらっしゃいますが、点眼を続け、涙液が増えることで改善することが多いです。また、目やにが増えるという方もいらっしゃいますが、白っぽい少量の目やにであれば、ムチンが増えてきた結果ですので、点眼の効果が出てきていると言えます。
④ムチン分泌促進(レバミピド)
涙液成分のうち、ムチン分泌を促進する作用があります。元々は胃の粘膜を保護する飲み薬として使用されてきたお薬です。
従来の治療で改善しなかったドライアイ患者さんにも効果がみられる、非常によいお薬です。
一回ずつの使い切りのお薬ですので、防腐剤無添加で、清潔に使用できます。
ただし、さし心地はあまりよくありません。その理由は、点眼した瞬間に曇って見えるのと、目薬が鼻やのどの奥に流れてきたときに苦みを感じるからです。点眼後、下向きで1分間目頭を押さえてもらうと苦みは軽減します。
⑤軟膏治療
就寝前に軟膏を眼の中に入れて頂く治療法です。
軟膏の油分が角膜を覆い、涙の蒸発を防ぎ、まぶたと眼球の摩擦を減らし、角膜を保護します。