神社解説

「重複投薬・相互作用等防止加算」の算定要件を満たそう!

2024年の調剤報酬改定では、以下のように見直しがされました。

2024年調剤報酬改定で見直された残薬調整の点数

例えば、

「重複投薬を発見して疑義照会を行い、該当の薬が削除された」
「患者さんから残薬があるとの申し出を受けて疑義照会を行い、該当の薬の処方日数が減少した」

といったケースは皆さんの薬局でも算定されているかと思います。

一方で悩ましいケースも多くあります。
今回は、算定に悩みがちな以下の事例について、考え方のポイントをお示ししたいと思います。

質問事例1:薬剤の追加、投与期間の延長でも算定できる?

結論としては、算定可能です。
この点については、疑義解釈(H28)が出ており、『「薬剤の追加、投与期間の延長」等であっても、要件に該当するものについては算定可能である。』とされています。

それでは、「薬剤の追加、投与期間の延長」の場合は、「イ残薬調整以外(40点)」、「ロ残薬調整(20点)」のどちらを算定出来るのでしょうか?
ここからは「イ残薬調整以外(40点)」、「ロ残薬調整(20点)」の2つに分けて考えてみます。

それぞれの点数は、処方箋受付1回につき1回算定可能です。

同時に複数の処方箋を受け付け、重複投薬・相互作用等防止加算の対象となる項目が複数ある場合も、算定は1回のみ

【イ残薬調整以外(40点)】

残薬調整以外(40点)は以下の場合で処方変更が行われた場合に算定可能です。

算定できるケース

(イ) 併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合を含む。)
(ロ) 併用薬、飲食物等との相互作用
(ハ) そのほか薬学的観点から必要と認める事項

このうち、「(ハ) そのほか薬学的観点から必要と認める事項」は、別の疑義解釈で以下のように示されており、「薬学的観点での薬剤の追加、投与期間の延長」の場合は、算定可能とされています。

処方医へ連絡・確認(疑義照会)を行い。かつ処方変更が行われた場合に算定することが可能です。

併用薬との重複について疑義照会を行ったところ、薬の削除や変更等はなく、用法用量のみが変更になる場合があります。

このような場合でも、重複投薬・相互作用等防止加算-イの「併用薬との重複投薬について確認し、処方が変更された」とみなされるため、算定可能です。

【ロ残薬調整(20点)】

残薬調整(20点)はその名の通り、残薬について処方医に疑義照会を行い、処方変更が行われた場合に算定可能です。
よくあるケースとして、患者さんの以下のようなご要望があると思います。

よくある患者さんのご要望

「次の受診が40日後になるので、いつも飲んでいるA薬の投与期間(30日処方)を40日処方へ増やして欲しい」

この場合、薬剤師が疑義照会をして投与日数が増えた場合は「ロ残薬調整(20点)」は算定可能でしょうか?

ここは算定可否が明確に示されておりませんし、判断が分かれるところです。
投与期間短縮だけでなく、投与期間延長も「残薬調整である」と考えるなら、算定することになるかも、と思います。
対象となる薬剤や処方背景にもよると思われますが、算定可能な余地はあるのではないかと考えております。

「薬剤の追加、投与期間の延長は算定可能か?」まとめ

ケース算定区分
薬学的観点から薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合イ残薬調整以外(40点)の「(ハ) そのほか薬学的観点から必要と認める事項」に該当
その他の理由で薬剤の追加や投与期間の延長が行われた場合ロ残薬調整(20点)に該当する可能性(?)

質問事例2:「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」とは? 

この点については疑義解釈(H28)で以下の様に示されています(筆者要約)

平成28年度疑義解釈で示された算定可否に関する「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」要約

逆に考えると、これ以上の事は示されておらず、各薬局の判断に委ねられているとも言えます。
だからこそ、多くの薬局が悩み「〇〇のケースは該当するのか?」といったご質問を多く頂きます。

その際の私の返答としては、「事務さんではなく、薬剤師が処方医に問い合わせすべきかどうか」で判断してはいかがでしょうか?とお伝えしています。
薬剤師が問い合わせすべきと判断する背景には「何らかの薬学的観点が入っている」とお考えだからだと思います。
そのような事例であれば「そのほか薬学的観点から必要と認める事項」に該当するのではないか、ということをお伝えしています。

何を持って薬学的観点とするかという点については議論が分かれるところですが、一つの判断基準として「事務さんではなく、薬剤師が処方医に問い合わせすべきかどうか」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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