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β遮断薬・ビソプロロールは心不全の症状に効果があるの?

ビソプロロール(メインテート)」はβ遮断薬に分類される、慢性心不全に用いられる薬です。ビソプロロールは慢性心不全の治療に重要な薬であり、患者さんが感じる不安を丁寧に解消することが薬剤師の大切な役割です。今回のコラムでは、ビソプロロールと慢性心不全について詳しく説明します。

心不全の症状とは?急性心不全と慢性心不全

左心室収縮機能が低下したHFrEF(ヘフレフ)の治療には、ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬、利尿薬などが使われる

心不全には急性のものと慢性のものがあり、病態に応じて治療が異なります。

急性心不全では、早急に症状を安定させることが重要ですが、慢性心不全では、長期的に心機能を維持し、生活の質を向上させることが目標となります。

さらに、左心室収縮機能が低下したHFrEF(ヘフレフ)と、正常な収縮機能を持つHFpEF(へフぺフ)があり、それぞれ治療アプローチが異なることも押さえておきましょう。

HFrEF(ヘフレフ)の治療には、ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬、利尿薬などが使われます。

心不全ガイドラインから見るβ遮断薬

心不全ガイドラインより。使用できるβ遮断薬はビソプロロール(メインテート)とカルベジロール(アーチスト)の2種のみ

かつて心不全治療に禁忌だったβ遮断薬が心不全治療に使われるようになった背景には、多くの臨床試験が行われ心不全患者の予後改善が確認されたことがあります。

特に、慢性心不全において、心臓の負担を軽減し、心筋のリモデリングを防ぐ効果があることが認識されるようになりました。

心不全ガイドラインの変更に伴い、今ではHFrEF(ヘフレフ)に対する標準薬としてβ遮断薬のビソプロロール(メインテート)とカルベジロール(アーチスト)は推奨されています。

β遮断薬には心臓への負担軽減効果がある

β遮断薬には心臓への負担軽減や心筋リモデリング抑制作用がある

慢性心不全に対する「ビソプロロール(メインテート)」の有効性は、1999年に行われた大規模臨床研究「CIBIS-II」によって示されました。

この研究では、ビソプロロール群がプラセボ群と比較して、死亡率、心血管死、入院リスクを有意に低下させることが報告されています。

「ビソプロロール」と「カルベジロール」の違いとは?

ビソプロロールとカルベジロールの違いは受容体の選択性

「ビソプロロール」と「カルベジロール」は心不全治療に使用されるβ遮断薬ですが、作用する受容体が異なるため、効果や副作用にも違いがあります。

使い分けの例としては、気管支喘息がある患者さんにはビソプロロールが選択されます。

しかしビソプロロールは徐脈になりやすいため、徐脈がある患者さんにはカルベジロールの方が選択されやすいという特徴があります。

「ビソプロロール」の副作用と注意点を把握しよう

慢性心不全にビソプロロールに初期投与した際、心不全の悪化、浮腫、低血圧、徐脈などの副作用の可能性が

β遮断薬の使用初期や増量時に注意が必要なのは、急激な心機能の低下が症状を悪化させるリスクがあるためです。

そのため、少量から徐々に増量することで、患者さんの体が薬に慣れるように調整します。目安は1日1回0.625mgからスタートし、徐々に増量を試みます。

また、低血圧や徐脈、浮腫、腎機能低下などの副作用に対しても注意が必要です。「ビソプロロール」同様に「カルベジロール」も漸増する必要があります。

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