「ベラパミル」が不整脈用剤として処方されていた場合、特定薬剤管理指導加算1を算定できる?
(処方例)
Rp1)ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」
3錠
分3 毎食後 30日分
答え 非表示
- Aできる
今回ピックアップする算定項目は? 「特定薬剤管理指導加算1」
「特定薬剤管理指導加算1」は、「ハイリスク薬」と呼ばれる「特に安全管理が必要な医薬品」が処方されている場合に算定できる加算です。しかし、薬効分類上「ハイリスク薬」ではない薬剤でも悪性腫瘍や不整脈用、てんかんの効能効果があり、その目的で処方されている場合には、「特定薬剤管理指導加算1」を算定することができます。
(参考資料:令和6年版 保険調剤Q&A 2.薬学管理料 (7)特定薬剤管理指導加算1)
Q4 これまで薬効分類上「腫瘍用薬」、「不整脈用剤」及び「抗てんかん剤」以外の薬効分類に属する医薬品であって、悪性腫瘍、不整脈及びてんかんに対応する効能を有するものについて、当該目的で処方された場合は「特に安全管理が必要な医薬品」に含まれるとされてきたが、この取扱いに変更はないか。また、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集については必ずしも必要としないとあるが、前述に該当する場合、当該目的で処方された場合か否かの確認をする必要はあるか。
A 処方内容等から「特に安全管理が必要な医薬品」に該当するか否かが不明である場合には、これまで通り、当該目的で処方されたものであるかの情報収集及び確認を行った上で、当該加算の算定可否を判断する必要がある。
クイズの解説
「ベラパミル」の薬効分類は「217:血管拡張剤」で、「212:不整脈用剤」ではないため、「ハイリスク薬」には該当しません。しかし、『ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」』の適応には「不整脈」があります。そのため、「不整脈用剤」として処方されている場合には「特定薬剤管理指導加算1」の算定対象となります。

ただし、狭心症と不整脈どちらの場合も「1回40~80mgを1日3回」という用法は同じため、処方目的を確認するなどの対応は必要です。
点数を計算してみよう!
具体的な例を用いて、計算してみましょう。
(処方例)
Rp1)ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」 3錠
分3 毎食後 30日分
『ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」』の薬価は6.40円なので、薬剤料は60点。内服の薬剤調整料は24点。内服の調剤管理料は、29日分以上の場合60点です。
『ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」』は薬効分類上「ハイリスク薬」には該当しませんが、「不整脈用剤」として処方されているので「特定薬剤管理指導加算1」の算定対象となります。
薬剤料と薬剤調整料と調剤管理料と特定薬剤管理指導加算1を合わせて計算すると、60+24+60+10=154点です。
こんな類似事例にも注意しよう!
以下の場合は「特定薬剤管理指導加算1」が算定できるかどうか考えてみましょう。
①『ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」』が狭心症に処方されている場合
②『ダイアモックス錠250mg』が抗てんかん剤として処方されている場合
③『バルプロ酸ナトリウム錠200mg「DSP」』が片頭痛発作の発症抑制で処方されている場合
ポイントは、処方目的が「特定薬剤管理指導加算1」の算定対象となる適応かどうかです。
①『ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」』が狭心症に処方されている場合:算定できない
『ベラパミル塩酸塩錠40mg「JG」』の薬効分類は「217:血管拡張剤」で、狭心症は「特定薬剤管理指導加算1」の対象となる適応ではないため、算定できません。
②『ダイアモックス錠250mg』が抗てんかん剤として処方されている場合:算定できる
『ダイアモックス錠250mg』の薬効分類は「213:利尿剤」で「ハイリスク薬」ではありませんが、「てんかん」の治療目的で処方されている場合には算定できます。
③『バルプロ酸ナトリウム錠200mg「DSP」』が片頭痛発作の発症抑制で処方されている場合:算定できない
『バルプロ酸ナトリウム錠200mg「DSP」』の薬効分類には「113 抗てんかん剤」と「117:精神神経用剤」が含まれるので、「ハイリスク薬」には該当しますが、片頭痛発作の発症抑制を目的で処方されているので算定できません。