神社解説

プラリア注射時に出されたデノタス

 Aさんに投与されたプラリア(一般名デノスマブ[遺伝子組換え])は、6カ月に1回皮下注射する骨粗鬆症治療薬である。デノスマブは、ヒトのNF-kB活性化受容体リガンド(RANKL)に対するIgG2モノクローナル抗体である。

RANKLは破骨細胞表面に発現しているRANKに結合して破骨細胞の形成や骨吸収機能亢進に関与するが、デノスマブはRANKLを特異的に阻害することで、破骨細胞の活性化を抑え骨吸収を防ぐ。結果として、骨からのカルシウムイオンの放出が少なくなり、低カルシウム血症が発生しやすくなる。そのため血清補正カルシウム値が高値でない限り、カルシウムおよびビタミンDを経口補充する必要がある。

 今回Aさんに出されたデノタスチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム)は、こうしたデノスマブ使用時の低カルシウム血症の予防目的で用いられる。ただし、Aさんのように腎機能障害を有する患者には不適である。同薬剤に含まれるコレカルシフェロールは天然型ビタミンDだが、腎障害があると活性型への変換が進まず、十分な効果が得られない可能性があるためだ。

アルファカルシドール

肝臓で25位が水酸化されて活性化される

エルデカルシトール

活性型ビタミンD3の誘導体

 デノタスの添付文書には、「腎機能障害の程度に応じ、本剤の投与を中止し活性型ビタミンDおよびカルシウムなどの他の薬剤に切り替えるなど、適切な処置を行うこと」とある。また、プラリアの添付文書にも、「腎機能障害患者や、既に活性型ビタミンDを使用している患者においては、適宜、活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を調整すること」とある。

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