神社解説

よく使われる「痰切り薬」3種はどう違う? 唯一、滲出性中耳炎の適応があるのは……

カルボシステイン(ムコダイン)の適応と効果

[適応]上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性・慢性気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺結核の去痰、慢性副鼻腔炎の排膿、滲出性中耳炎の排液(シロップとドライシロップのみ)

[用法]1回500mg×1日3回

[剤形]250mg錠、500mg錠、シロップ、ドライシロップ

痰の粘稠度を下げることで出しやすくする薬です。また、痰そのものの量を減らす働きもあります。そして痰を出そうとすることで起こる咳症状も軽減させます。

カルボシステインは非常に使用頻度の多い薬ですが、その要因の1つに気道の痰以外にも効果があることが挙げられると思います。

慢性副鼻腔炎や小児の滲出性中耳炎に対して鼻や耳の炎症の起きた粘膜を修復し、粘液をサラサラにして出しやすくします。今回出てくる去痰薬の中で唯一、カルボシステインのシロップとドライシロップが滲出性中耳炎への適応を持っています。

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アンブロキソール(ムコソルバン)の適応と効果

[適応]急性・慢性気管支炎、気管支喘息、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、手術後の喀痰喀出困難の去痰、慢性副鼻腔炎(15mg錠、内用液のみ)
※シロップ、ドライシロップは急性気管支炎と気管支喘息の去痰のみ

[用法]1回15mg×1日3回、徐放錠:1日1回45mg

[剤形]15mg錠、徐放錠45mg、シロップ、ドライシロップ、内用液

ブロムへキシンの活性代謝物の1つであるアンブロキソールは、肺サーファクタントの分泌促進や線毛運動亢進などによって気道を潤滑にして痰を出しやすくします。

錠剤には1回15mgで1日3回服用の普通錠と、1回45mgで1日1回の服用で済む徐放錠があります。徐放錠を夕食後に服用すると夜間から早朝にかけての血中濃度が高くなり、早朝の喀痰喀出困難を訴える患者さんに有用です。

メリットが多い徐放錠ですが、慢性副鼻腔炎への適応がありません。また、シロップ剤に関しては低温になると結晶が析出してしまうので、室温保管となります。

ブロムへキシン(ビソルボン)の適応と効果

[適応]急性気管支炎・慢性気管支炎・肺結核・塵肺症・手術後の去痰、気管支造影後の造影剤の排泄促進(注射液のみ)

[用法]1回4mg×1日3回

[剤形]4mg錠、吸入、注射液

痰の粘稠度を下げることで排出しやすくする薬です。吸入液もあるのでネブライザーを用いた吸入も可能です。

また気道だけでなく、他の消化管の粘液にも作用します。特に膵臓への移行は多く、溜まっている膵液を溶かすことを期待して適応外で処方される場合もあります。

服薬指導においては、喀痰が一時的に増えることがあることで患者さんが不安にならないような説明を心がけたいですね。

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