まず1つ目は、腎臓への血流量が少なくなってしまう点です。心不全でも左心室の収縮能が大幅に低下すると、心臓から全身への血流も少なくなってきます。全身への血流が滞るということは、もちろん腎臓へ流れる血流量も少なくなります。そのため、腎機能が低下するといわれています。
次に、2つ目の神経やホルモンのバランスが崩れる点について述べていきます。心機能が低下すると、体の主要な臓器である脳や心臓への血流を維持するべく、交感神経とレニンアンジオテンシン・アルドステロン、バゾプレッシン系のホルモンが活動し始め、血圧維持や心収縮能を高めようと働きます。
一時的にはこの作用で心機能が維持できるものの、長期間心収縮能が高まったままでいると、心臓が疲れて動きが悪くなり血流が低下します。これは、腎臓へ流れる血液も少なくなるため、腎機能が低下するというわけです。
最後に、腎臓の静脈圧が上昇して腎機能が低下してしまう点です。こちらは、右心機能が低下することで全身の静脈を流れる血液が滞り、腎静脈圧や大静脈の圧が上昇するようになります。右心不全で腹水貯留や下肢の浮腫などが起こるのも、この理由からです。
アテローム性の動脈硬化による心臓と腎臓の悪影響
