Q. ステロイドは一回にどのぐらい塗ればいいの?
人差し指の指先〜第一関節まで軟膏を出すと大体0.5gとされ(=1FTU;finger-tip unit)、
それを大人の手のひら二枚分ぐらいの厚さに塗り拡げると適切とされています1。
薄く塗って副作用を回避しようとする人がいますが、強弱は薬の強さでつけるものです。
薄く塗ると効果が十分に発揮されない、塗りムラが出るなどの理由から、治癒までの期間が無駄に長引く可能性があります。
ただし、厚く塗りすぎるのも副作用を増やす恐れがあるので、適切な量を塗りましょう。

Q. 体用に処方されたステロイドを顔や首に塗ってもいいの?
体の部位によって吸収率が違うため、体用に処方されたものを安易に顔に塗るのは避けましょう。
顔については,原則としてミディアムクラス(Ⅳ群)以下のステロイド外用薬を使用します1 。
首や外陰部などの部位も吸収率が高いため、原則IV群以下にします。
重症の皮膚炎に対しては,一時的にIII群などを用いるケースもありますが、自己判断では用いないようにしましょう。

Q. ステロイド軟膏を保湿剤等で混ぜて薄めると副作用は減るの?
ステロイド剤を他の軟膏で薄めても、効果や副作用はかわらない事が知られています3 。
皮膚外用薬では、主薬は基剤中に大部分が飽和しており、基剤に溶けている主薬のみが皮膚を通過します3。保湿剤等で希釈しても、溶けていなかった主薬が新たに基剤に溶け込むだけなので、効果が低下することはありません。
・デルモベート®を10倍に希釈しても効果がかわらない
・リンデロン-V®やアンテベート®を4-16倍に希釈しても効果がかわらない
等のデータが国内外から報告されています。
数十倍に希釈すればさすがに弱まりますが、そのような使い方をする必要性がありません。
また、他剤と混合することによって、しばらく置いておくと主薬の安定性にも影響がでる可能性があります。組み合わせによっては2週間後は効果が変わらなくても、4週間後には明らかに活性が低下する場合もあります。
当院でもヒルドイドソフト軟膏®とステロイド軟膏を混ぜて処方するケースはありますが、これは効果や副作用を弱めることを狙ったわけではありません。湿疹が体全体に広がっている場合に、塗る手間を省くために行います。ヒルドイドソフト軟膏®は混合しても比較的影響が少なく、データもそれなりに豊富ですが、何種類も混ぜた場合に効果や安定性がどうなるかというデータはほとんどありません。何種類も混ぜた処方はどのような効果になっているのかは、誰にもわかりません。効果が失活しているかも知れませんし、逆に吸収率が高まっている可能性すらあり得ます。要するに他剤と混ぜるメリットは殆どありません。