Q1:【選定療養を説明する時】新しい薬が処方される度に算定出来る?
要件上、「当該医薬品に関して最初に処方された1回に限り算定する」とされているため、必要な説明等を行うのであれば、新しい薬が処方される度に算定可能です。
ただし、同時に「選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者」に対してという要件もあります。
つまり、薬剤師が説明する前から、患者さんが後発医薬品を希望しているケースは算定不可となります。
例えば、以前に患者さんに選定療養を説明し、それまで先発希望だったのが後発希望にすでに切り替わっているケースなどは、算定不可と言うことになります。
よって、新しい薬が処方されるケースは頻繁にあるものの、実際に1人の患者さんに特定薬剤管理指導加算3-ロ(選定療養)を複数回算定するケースは、それほど多くないものと思われます。
1人の患者さんに複数回算定するケースとしては、基本的に先発品を希望しており、選定療養費(特別の料金)を確認してから先発品・後発品のどちらにするかを選びたいという患者さんなどが想定されます。
Q2:【選定療養を説明する時】2種類の先発品が処方されている場合、別々に算定できる?
まず、特定薬剤管理指導加算3-ロは、受付1回につき1回の算定となります。よって、2種類の先発品が処方されているからといって、1種類ずつ算定(受付1回あたり2回の加算算定)は出来ません。
例えば、今回は受付時に1種類の先発品について算定、次回の受付時にはもう1種類の先発品について算定が出来るか、というと、現実的に算定不可と考えます。
実務の観点で考えたときに、2種類の先発品が処方されている場合は、2種類一緒に患者さんに説明すると思います。説明する、という行為に対して加算が設けられているため、2種類まとめて説明されているのであれば、1回目の説明時に1回算定し、次回受付時は算定しない(説明もしない)になるものと思われます。
Q3:【選定療養を説明する時】レセプトにはどのような記録を残せばよい?
レセプト(調剤報酬明細書)には、記載すべき項目が定められています。
どの薬について選定療養を説明したかの記録については、薬剤服用歴への記録は要件上必要ですが、レセプトへの記録までは求められておりません。
以下の表で要件を整理していますのでぜひご参考下さい。

Q4:【医薬品の供給問題を説明する時】医薬品A(高血圧薬)が入荷しないため、別成分の医薬品B(高血圧薬)に変更した場合は算定出来る?
算定可能と考えられます。
要件上、「前回調剤された銘柄から別の銘柄の医薬品に変更した場合」に算定可能とされています。ここでいう、「銘柄」とは個々の商品名を指します。
つまり、「医薬品名・剤形・規格・メーカー名」が全て同じであれば同一銘柄、一つでも異なれば別銘柄となります。
(別銘柄の一例)
- エゼチミブ錠10mg「杏林」とエゼチミブ錠10mg「アメル」
- エゼチミブ錠10mg「杏林」とロスーゼット配合錠LD
(同一銘柄の一例)
- エゼチミブ錠10mg「杏林」PTP100錠とエゼチミブ錠10mg「杏林」バラ300錠
つまり、ご質問の医薬品Aと医薬品Bは別銘柄ですので、医薬品Aから医薬品Bへ変更した際は、所要の要件を満たせば算定可能ということになります。
Q5:【医薬品の供給問題を説明する時】メーカーAからメーカーBに変更(成分・剤形・規格は同じ)して算定、その後メーカーBからメーカーAに再度変更した場合も算定出来る?
メーカーBからメーカーAへ再度変更した理由によります。
算定要件上、あくまで「医薬品の供給問題で、必要な数量が確保できずに銘柄変更した場合に算定可」とされております。
つまり、メーカーAが入荷困難等で必要量を確保出来ないために、メーカーBで調剤した場合、算定は可能です。
その後、メーカーBが入荷困難で必要量を確保出来ないために、メーカーAに再度変更した場合も算定可能です。
一方で、メーカーBが入荷困難ではないが、メーカーAが入荷するようになったから、メーカーAにもどした(再度変更した)という理由なら、算定できない、ということになります。
あくまで変更理由が「医薬品の供給問題で、必要な数量が確保できないため」であるかどうかが、判断基準となります。