神社解説

基礎的医薬品とは?

基礎的医薬品制度は平成28年度の薬価改定から試行的に始まった制度で、採算が取れない医薬品の中で一番販売額が大きい銘柄の薬価を維持する試み。

つまり、基礎的医薬品対象品目一覧のうち、基礎的リストに掲載されているものは、以前に後発医薬品の区分であったため、後発医薬品のように変更調剤が可能ということ。なお、基礎的医薬品は後発医薬品調剤体制加算の計算式の分母と分子からは除外されている。

例えば、L-ケフレックス顆粒(薬価:80.90)、 セファレキシン複合顆粒500mg「トーワ」(薬価:80.90)を比べてみた時に、上リンクの基礎的医薬品対象品目一覧で両者ともに基礎的医薬品に該当することがわかり、上リンクの基礎的リストで後者は前者の後発医薬品扱いとなることがわかる。

令和6年薬価改定

令和6年薬価改定で基礎的医薬品対象品目に追加された数百種類の医薬品のうち、有名どころをピックアップすれば、

  • サワシリン(アモキシシリン) カプセル
  • ファロム錠/DS
  • カロナール細粒
  • クラリスロマイシン錠/DS
  • アンテベート(サレックス、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)軟膏/Cr
  • フロモックス(セフカペンピボキシル)錠/細粒
  • オキシコドン徐放錠/ カプセル
  • エリスロマイシン錠
  • フェンタニルテープ
  • メプチン吸入液/エアー
  • ボラザG軟膏/坐剤

らが上げれる。

基礎的医薬品対象品目になると後発医薬品(クラリスロマイシン等)は後発品の指定が外れて、後発でも先発でもない医薬品となってしまうが、先発医薬品(サワシリンやフロモックス等)は先発医薬品でもあるし基礎的医薬品対象品目でもあるという形になる。

上記の基礎的医薬品対象品目のうち、以前、後発医薬品区分であって、変更調剤が可能な基礎的リストの医薬品は(先発は自動的にのぞかれるので)、

  • アモキシシリンカプセル
  • カロナール細粒
  • クラリスロマイシン錠/DS
  • (サレックス/ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)軟膏/Cr
  • セフカペンピボキシル錠/細粒
  • オキシコドン徐放錠/カプセル
  • エリスロマイシン錠
  • フェンタニルテープ

が該当する。

これらを踏まえれば、令和6年に基礎的医薬品対象品目であり基礎的リスト掲載医薬品になった クラリスロマイシン錠200mg「トーワ」は後発医薬品ではなくなったが、先発医薬品であるクラリスから変更調剤可能、ただし、 クラリスロマイシン錠200mg「トーワ」は後発医薬品調剤体制加算の計算式には含まれないが、クラリスは先発品なので含まれる点には注意する。

実例をあげてみてみましょう。

基礎的医薬品の対象となったケフラールカプセル250mgを例にあげます。

平成28年4月の薬価改定前、ケフラールカプセル250mg(先発医薬品)にはいくつかの後発医薬品が存在しました。医薬品名と改定前薬価の一覧を以下に示します。

医薬品名 薬価 先発/後発

ケフラールカプセル250mg 53.70 先発品

セファクロルカプセル250mg「サワイ」 22.60 後発品

セファクロルカプセル250mg「トーワ」 22.60 後発品

セファクロルカプセル250mg「JG」 22.60 後発品

セファクロルカプセル250mg「TCK」  22.60 後発品

先発品のケフラールカプセルの薬価が53.7円で、後発品は22.6円でした。

上記5品目はすべて平成28年4月の薬価改定で基礎的医薬品の対象となりました。

医薬品名 薬価 先発/後発

ケフラールカプセル250mg 54.70  

セファクロルカプセル250mg「サワイ」 54.70  

セファクロルカプセル250mg「トーワ」 54.70 

セファクロルカプセル250mg「JG」 54.70 

セファクロルカプセル250mg「TCK」  54.70 

基礎的医薬品の薬価は「販売銘柄の中で一番高い薬価」ですから、5品目すべて、ケフラールカプセルの同価格である54.70円に集約されました。

改定前はケフラールカプセルが先発品、その他4品目が後発品でしたが、改定後は5品目すべて「基礎的医薬品」というカテゴリーになり、先発品でも後発品でもなくなりました。

基礎的医薬品の変更調剤は、今までの主従関係に注意せよ

まずは、メイアクト錠を例に説明します。

品名各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報
セフジトレン ピボキシル100mg細粒
セフジトレンピボキシル小児用細粒10%「CH」
メイアクトMS小児用細粒10%
セフジトレンピボキシル小児用細粒10%「OK」
セフジトレン ピボキシル100mg錠
メイアクトMS錠100mg
セフジトレンピボキシル錠100mg「CH」

メイアクトは基礎的医薬品に収載されたため、先発でも後発でもなくなりました。

表の右側が空欄だから、先発でも後発でもないってことですね

そのため、セフジトレピボキシル錠「OK」などからメイアクトへ変更できそうですが、これは不可です。

メイアクトは後発になったわけではなく、先発でも後発でもなくなっただけです。

今までの主従関係が残っているのです。

変更調剤では今までのルールは生きているので、メイアクトからセフジトレンへの変更のみ許されます。

メイアクト(主) セフジトレン(従)という主従関係は変わりません。

先発でも後発でもなくなったから、同じセフジトレンでも、
セフジトレン「CH」からセフジトレン「OK」へは変更できないという感じもしますが、これはどちらも(従)なので今まで通り変更できます。

続いてリンデロンVG軟膏です。

品名各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報
ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩軟膏
デルモゾールG軟膏
リンデロン-VG軟膏0.12%
デキサンVG軟膏0.12%

メイアクトと同様のことがリンデロンVG軟膏にも発生しています。

リンデロンVG(主)からデルモゾール(従)へは変更できるが、逆はできません。

局方品の変更調剤はどうなるの?

そのため、ここにあるものは相互に変更することはできません。

変更には疑義照会が必要です。

よく、白色ワセリン「ケンエー」などといった処方を見ますが、これは「ケンエー」限定!!という意味になります。

ドクターは、どうしても「ホエイ」じゃなきゃ、とか絶対「ケンエー」とか考えていません。

-神社解説