令和7年度薬価改定で算定上の後発医薬品から除外された後発医薬品についてまとめます。
要は「3」から「★」に変わったものですね。
本文中に登場する「2」、「3」、「⭐︎」、「★」の説明です。
- 1:後発医薬品がない先発医薬品(後発医薬品の上市前の先発医薬品等)
- 2:後発医薬品がある先発医薬品(先発医薬品と後発医薬品で剤形や規格が同一でない場合等を含む。ただし、全ての後発医薬品が経過措置として使用期限を定められている場合を除きます。)
- ☆:後発医薬品がある先発医薬品のうち後発医薬品と同額又は薬価が低いもの
- 3:後発医薬品
- ★:後発医薬品のうち先発医薬品と同額又は薬価が高いもの
ちなみに、どの薬が↑に該当するか、確実な一覧が欲しいって方は厚生労働省のホームページで確認できます。
薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和7年4月1日適用)の中にある5.その他(各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報)(Excel、PDF)です。
今回の資料は↑の資料(令和7年4月1日適用)と過去の資料(令和7年3月31日まで)を比較して確認したものです。
L-カルボシステイン250mg錠(全メーカー)
全メーカーが統一名収載品なので、カルボシステイン錠250mg「サワイ」、「ツルハラ」、「トーワ」、「JG」、「NIG」、「TCK」が該当。
- ムコダイン錠250mg:薬価 8.50円 「2」 → 10.40円(局方品の最低薬価) 「☆」
- L-カルボシステイン250mg錠:薬価 5.70円 「3」 → 10.40円(局方品の最低薬価) 「★」
先発・後発ともに最低薬価による引き上げ、同じ薬価に。
ムコダイン錠250mgは「☆」、カルボシステイン錠250mgは「★」に。
L-カルボシステイン500mg錠(全メーカー)
今回の改定で全銘柄が統一名称収載品に、カルボシステイン錠500mg「サワイ」、「ツルハラ」、「トーワ」、「JG」、「NIG」、「TCK」が該当。
- ムコダイン錠500mg:薬価 10.10円 「2」 → 10.40円(局方品の最低薬価) 「☆」
- L-カルボシステイン500mg錠:薬価 9.30円 「3」 → 10.40円(局方品の最低薬価) 「★」
- L-カルボシステイン500mg錠(旧NIG):薬価 7.90円 「3」 → 10.40円(局方品の最低薬価) 「★」
先発・後発ともに最低薬価による引き上げ、同じ薬価に。
ムコダイン錠500mgは「☆」、カルボシステイン錠500mgは「★」に。
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「SANIK」
- アレグラ錠60mg:薬価 31.00円 「2」 → 26.10円 「2」
- フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「SANIK」:薬価 28.70円 「3」 → 28.70円(改定対象外) 「★」
- フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「NP」、「ケミファ」、「トーワ」、「明治」:薬価 23.10円 → 23.10円(改定対象外) 「3」
- フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「TCK」、「ZE」、「日新」、「JG」、「タカタ」、「BMD」:薬価 11.50円 「3」 → 11.50円(改定対象外) 「3」
- フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「ダイト」:薬価 21.80円 「3」 → 19.60円 「3」
- フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「ツルハラ」:薬価 23.10円 「3」 → 19.90円 「3」
- フェキソフェナジン塩酸塩60mg錠:薬価 10.10円 「3」 → 10.40円(局方品の最低薬価) 「3」
フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「SANIK」は薬価維持、先発のアレグラ錠60mgが引き下げを受けた結果、薬価が逆転。
アレグラ錠60mgは「2」、フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg「SANIK」は「★」、その他のフェキソフェナジン塩酸塩錠60mgは「3」です。
後発医薬品調剤体制加算の算定には後発品置換率とカットオフ値の基準が設定されています。
後発医薬品調剤体制加算の施設基準
- 後発品置換率(直近3ヶ月で算出)
- 加算1:後発品置換率 80%以上
- 加算2:後発品置換率 85%以上
- 加算3:後発品置換率 90%以上
- カットオフ値 50%以上(直近3ヶ月で算出)
後発品置換率とカットオフ値は以下の計算式で算出されます。

- カットオフ値分母一番右の空白部分には基礎的医薬品や準先発品、そのほかの医薬品が該当
- 計算式内の( )はそれぞれ調剤数量
- この図は日本ジェネリック製薬協会のホームページに掲載されている図を参考に作成
後発品置換率に比べてカットオフ値はわかりにくいと思いますが、この図を見るとわかりやすいのではないでしょうか?
カットオフ値は調剤した医薬品全体のうち、後発品置換率に影響する調剤数の割合を示します。
カットオフ値が50%を越さないと加算の対象にならないのは、カットオフ値が低いと、少量の置換で後発品置換率が上昇してしまうことが理由となっています。
今回の改定で後発品置換率がどれくらい影響を受けるか調べておくのは当然のこととして、2(後発品のある先発品)から☆(後発品のない先発品)に変わってしまった先発品(とその後発品)をよく使う薬局はカットオフ値にも注意しておきたいところです。
カットオフ値への影響
後発品が「3」から「★」に変わった場合でも、先発品が「2」であれば、後発品のメーカーを変えることで対応できますが、先発品が「☆」になってしまった場合、すべての後発品が「★」ということになるので、処方内容自体を変えてもらわないとカットオフ値を上昇させることは不可能になります・・・。
例としてロキソプロフェンNaテープ100mgの調剤数量が月に5,000枚の場合を考えてみます。
ロキソプロフェンNaテープ100mgは今まで「3」でしたが、令和7年4月1日以降は「★」に変わってしまいます。
後発品置換率の計算では分子・分母ともに−5000されるだけなのでそこまで影響はないのですが、
カットオフ値の計算では分子のみ−5000となるので影響が大きくなります。