神社解説

漢方薬について

苦い粉薬を喉につかえず飲むには

漢方薬は粉薬が多く、薬臭く、種類によっては苦いので、飲む時は注意が必要です。

水や白湯で飲む

漢方薬は、基本的に白湯や水で飲みます。水を一口分口に入れて上を向き、喉の中の水に落とすように漢方薬の粉を入れ、一度口を閉じて、さらに水を飲んで流し込むと、舌に漢方薬が触りにくく、味や臭いをあまり感じずに飲めます。
味と臭いが気にならなければ、白湯に溶かして飲んでも全く問題ありません。葛根湯などは、お湯に溶かして飲む方が効きがよいと言われています。

オブラートや補助ゼリーで飲む

漢方薬を飲むに当たって、オブラートや、服薬補助ゼリーを使うのもおすすめです。オブラートや服薬補助ゼリーは基本的に薬の作用を邪魔しない成分で作られているので、漢方薬に使っても問題ありません。

苦いのが苦手な人や子どもが飲む場合は?

苦味や薬臭さが苦手な人が漢方薬を飲んだり、小さい子に漢方薬を飲ませたりするには、チョコレートアイスやチョコレートクリームがおすすめです。
チョコレートやココアのフレーバーは苦味や薬臭さを隠しやすいので、漢方薬を混ぜたりくるんだりするのに向いています。小さい子には、漢方薬を混ぜたチョコクリームやチョコレートアイスを頬の内側になすりつけるようにするとうまく投薬できます。飲ませる子が1歳以上なら、はちみつとココアパウダーを使って簡易ココアペーストを作って使うのもおすすめです。

2種類の漢方を飲む場合

2種類の漢方薬を飲むの自体は問題ないのですが、2種類の漢方薬で、生薬成分が重複していないか注意が必要です。多量摂取で副作用が起きる生薬があるからです。
とくに多量摂取に気をつけるべきなのは甘草と麻黄です。甘草は多くの漢方薬に含まれていて、多量摂取(目安として5~7g/日)でむくみや尿量減少をともなう偽アルドステロン症が起こります。加齢などで代謝が落ちていると、7gに満たない量でも偽アルドステロン症になる場合があるので、注意が必要です。
麻黄は風邪に使う漢方薬に含まれる場合が多いです。多量摂取すると麻黄が含むエフェドリンにより、動悸や不眠が起こります。体力がない人が麻黄を飲むと通常量でも動悸や不眠が起こる場合があるため、漢方薬の説明書きをよく読んで、体力がない人が体力のある人向けの漢方薬を使うのだけは避けましょう。
漢方に詳しい医師に処方してもらったり、漢方薬局の薬剤師に相談したり、普通の薬局の薬剤師に相談したり、専門家に相談して漢方薬を選ぶと、2種類の漢方薬を飲んでも生薬の重複による副作用を避けやすくなります。店頭で買う際に薬剤師に聞くのを忘れた場合でも、購入した薬局に電話をかけて聞けば、薬剤師に相談できる場合があります。

桃仁、牡丹皮、大黄を含む漢方薬は、妊娠中には流産や早産のリスクがあるため、服用は避けるべきです。これらの生薬には子宮収縮作用や骨盤内臓器の充血作用があるとされており、特に妊娠初期には注意が必要です。

妊娠中に飲むべきでない漢方薬の種類は多いです。
生理痛によい漢方薬や吹き出物によい漢方薬でも、妊娠中に飲むと流産や早産を引き起こしかねない生薬が含まれているケースがあります。
桃仁、牡丹皮、大黄などの生薬が、よく使われる漢方薬で妊娠中に問題になりやすい生薬です。ただ、つわりに使われる漢方薬など、妊娠中に飲んで全く問題ないどころか役に立つ漢方薬はたくさんあるので、薬剤師や医師に妊娠中でも飲んで大丈夫な漢方薬か、必ず相談するべきです。


産後は妊娠中ほど漢方薬に制限はありませんが、症状・体質に合わない漢方薬は、飲むべきではありません。また、授乳中飲むべきでない漢方薬も存在します。大黄を含む漢方薬が代表的です。大黄は便通をつける作用がある生薬で、大黄の成分は母乳に移行して赤ちゃんが飲むので、赤ちゃんが下痢をする心配があります。
大黄以外にも授乳中に適さない生薬を含む漢方薬や、産後・授乳中で消耗している時に適さない漢方薬はあるので、薬局の薬剤師など専門家に相談して確かめるべきです。
一方で、産後・授乳中の消耗の回復に役立つ漢方薬はたくさんあるので、効果的な漢方薬を選んで活用しましょう。

漢方薬は続けて長期間飲んでもいいのか

漢方薬の多くはある程度続けないと効果が感じられません。ただ、頓服(※)に向いた漢方薬もあります。ただし頓服に向いた漢方薬は、長期間続けて飲むのには向かない場合が多いです。芍薬甘草湯などは甘草の量が多いため、頓服の漢方薬として扱われているケースが多いでしょう。
また、続けて長期間飲むべき種類の漢方薬でも、体質や症状は状況で変わるので、体質・症状に合わせて漢方薬を止めたり変えたりしなければならない場合があります。
長期間服用する場合は、定期的に医師や薬剤師に相談して、今の漢方薬が適切か確かめる必要もあるでしょう。

※頓服(とんぷく)とは
薬の服用方法(飲み方)で、食前、食後、就寝前などのように定期的に内服するのではなく、発作時や症状のひどいときなどに応じて薬を服用すること。

-神社解説