なぜなら、水分だけを補給すると体液のバランスが崩れ、熱中症のリスクが高まるからです。汗をかくことで水分だけでなく、塩分(ナトリウム)やカリウムなどの電解質も失われてしまいます。
そのため、大量に汗をかいた場合に熱中症対策として飲んでおきたいのは、汗をかいて失われた水分と塩分をスムーズに補給できる飲み物です。
熱中症対策におすすめの飲料
1 スポーツドリンクなど塩分を適度に含む飲料
外で仕事をする機会が多い人や、運動をよくする人は、水分と塩分とを同時に摂取できるスポーツドリンクがおすすめです。
「ポカリスエット」(大塚製薬)や「アクエリアス」(日本コカ・コーラ)などのスポーツドリンクは「アイソトニック飲料」と呼ばれ、浸透圧が体液と同じになるように調整されているため、体内に吸収されやすいという特徴があります。
作業前や運動前から飲み、約20~30分ごとにコップ1~2杯程度を摂取するのが大切。



これらのスポーツドリンクは、運動量の多い人が、水分や塩分を素早く補えるように作られています。
しかし、スポーツドリンクには糖分も含まれており、飲みすぎると糖分のとりすぎになる可能性があるため、注意が必要です。

2 水や麦茶、黒豆茶などのノンカフェイン飲料
デスクワークがメインの人など、屋内で過ごすことが多く汗をあまりかかない場合は、水やお茶で水分補給をするのがおすすめです。
ただし、お茶の中にはカフェインを含むものもあります。カフェインには利尿作用があり、摂取しすぎると水分が体外に排出されやすくなるため、注意が必要です。
麦茶やルイボスティー、黒豆茶、コーン茶などは、ノンカフェインで、体にやさしい飲み物として知られています。

3 熱中症の症状改善に経口補水液
めまいや頭痛、吐き気、倦怠感など、軽度の熱中症の症状が疑われるときは、経口補水液で水分補給しましょう。
経口補水液とは、ブドウ糖と電解質を水に溶かして作られた飲料のこと。
スポーツドリンクよりも水分や電解質の吸収に優れており、脱水を伴う熱中症の初期対応に適しています。
ただし、経口補水液は、脱水症の際に水分と電解質を効率よく補給するための「病者用食品」であり、日常の水分補給としての常用は推奨されていません。特に、高血圧や腎疾患、糖尿病などで塩分(ナトリウム)やカリウム、糖分の摂取制限がある方は、使用前に医師や薬剤師に相談することが重要です。使用にあたっては、医療従事者の指導のもと、適切な状況での摂取を心がけましょう。
水分補給をしても症状が改善しない場合や、水分補給ができないほど症状がひどい場合は、早急に病院に行くようにしてください。
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飲みすぎを避けたい飲料
熱中症対策には水分補給が欠かせませんが、飲み物の種類によってはかえって脱水症状を招いたり、糖分のとりすぎになってしまったりしてしまうことも。
ここからは、飲みすぎを避けたい飲料をご紹介します。
カフェインを多く含む飲料
先述した通りカフェインには利尿作用があり、せっかく水分補給をしても、その水分を短時間で体外に排出してしまいます。コーヒーや紅茶、緑茶など、カフェインを多く含む飲料のとりすぎは避けましょう。

糖分を多く含む飲料
ジュースや炭酸飲料など、必要以上に糖分を多く含む飲み物を摂取すると、体液よりも浸透圧が高くなるため、水分の吸収が遅くなります。
そのため、たくさん汗をかいたときの水分補給には適していません。たくさん汗をかいたら、できるだけ飲むのを避けたほうがいいでしょう。
アルコール飲料
カフェインと同じように、アルコールにも利尿作用があります。
お酒を飲むときは、同じ量の水をいっしょに飲むよう意識しましょう。

熱中症にならない水分のとり方は?
熱中症にならないためには、意識して水分をとることが大切。
1日あたり1,200ml以上の水分を飲み物からとる
私たちの体からは、1日に尿や汗、不感蒸泄(呼気や皮膚からの蒸発)、便などを通じて、1日に約2,500mlの水分が失われます。これを補うためには、飲み物からの水分摂取が重要です。体内で代謝により生成される水分(約300ml)や食事から摂取する水分(約1,000ml)もありますが、残りの約1,200mlは飲み物から補う必要があります。
特に、寝ているあいだは汗や呼気で水分が失われやすいため、寝る前と起床後にコップ1杯の水や白湯を飲む習慣をつけるといいでしょう。

こまめに水分補給する
飲み物による1日の水分補給量がトータルで1,200ml以上になるように、こまめに水分補給をすることも大切です。
なぜなら、私たちの体は常に呼吸や汗、尿などで水分を失っており、のどの渇きを感じたときにはすでに軽度の脱水が始まっている可能性があるからです。特に高齢者は、のどの渇きを感じにくいため、意識的に水分を摂取することが重要です。