
痛みや発熱の元々の原因は組織の「炎症」です。
そしてその炎症、山火事が起きると発生する成分があります。その名が「プロスタグランジン」。
この成分が痛みを感じやすくさせたり、体温を上げるよう脳に要求したりする事で痛みや熱が生じる、という仕組みです。
実は、私たちが痛みを感じたり、熱が出たり、あるいはどこかが腫れたりする時、このプロスタグランジンという物質が現場でたくさん作られて、それが神経を刺激したり、血管を広げたりして、痛みや炎症、発熱といった症状を引き起こしています。
いわば、体の「警報装置」のような働きをしているわけです。

そしてロキソニンはこのプロスタグランジンが生み出される一歩手前の所で生産にストップをかけるんです。
「ロキソニンがストッパーの役目を果たすことで、痛みや発熱を和らげることができる」こんな仕組みなんです。
この働きがあるのが解熱鎮痛剤の中でも「NSAIDs/非ステロイド性抗炎症薬」というグループで、ロキソニンもその中の一種。
市販されているロキソニンSやイブ、セデス、バファリンの一部なんかも、このNSAIDsの仲間なんです。

このNSAIDsのお薬たちはしっかりと痛みを和らげてくれるので非常に頼もしい存在です。
ロキソニンの副作用
①腎臓
では一体どんな仕事をしているのかというと、まず一つが、腎臓の血管を広げる作用。
プロスタグランジンが腎臓の血管を広げ、血のめぐりをよくすることで腎臓に十分に血液が行き渡り、腎臓は100%の活動が行え、元気におしっこを作ることができます。
しかし、ロキソニンの飲みすぎでプロスタグランジンを抑えすぎると、痛みは軽くなりますが、同時に血管を広げる作用も抑えてしまいます。
こうなると何が起きるかと言いますと、腎臓に血液を送る血管を広げられなくなり、血管がきゅっとしまってしまい、腎臓に十分な血液が流れなくなり、これが原因で「腎不全」になってしまう事があります。



②胃
プロスタグランジンは、もう一つ重要なお仕事をしています。それが「胃の粘膜を守る」働き。
そしてこの粘液の分泌を促したり、胃粘膜の血流を良くして修復を助けたりする存在が「プロスタグランジン」。

胃が弱い人はロキソニンを飲みすぎると胸やけや吐き気がしたりお腹が痛くなったりしますし、クリニックではそのためロキソニンと一緒にレバミピドやムコスタと呼ばれるような胃薬を出すこともあります。
この胃の違和感や痛みを放置してロキソニンを飲み続けていると、コツコツ胃にダメージが加わり、胃がただれてしまう「胃潰瘍」や、「胃穿孔」といった状態になってしまいます。

これは吐血してしまい、緊急手術が必要になることも。
③喘息
そしてもう一つの意外な副作用が「喘息」。ロキソニンがきっかけで喘息が起きる場合があるんです。
ロキソニンがプロスタグランジンの工場をストップさせる、という話をしましたが、その結果としてその原料を元に「ロイコトリエン」と呼ばれる別の成分が作られます。
そしてこの成分が気管支をキュッとしめてしまうことがあるので、気管支が狭くなったことでぜえぜえ、ひゅうひゅういう症状や、咳が止まらない症状が出現することがあります。

④血圧
ロキソニンが腎臓の血管を締めて、腎臓にダメージを与える、こういった話をしましたが、この血管が締まり、狭くなる結果としてロキソニンが原因で血圧が上がってしまうこともあります。
これもかなり意外な知識だと思います。

ロキソニンの湿布について
飲み薬と比べるとリスクは下がります。
飲み薬と違って湿布や塗り薬は部分的に使用するものなので、胃を通過して全身に作用する飲み薬よりは全身へ与える刺激は少ないと言えるでしょう。
ただ一方で、完全に安心できる訳ではありません。
皮膚から吸収されたロキソニンの成分が少ないながらも血液中に移行するので、例えば湿布の貼る範囲が非常に広い人や、何回も湿布を張り替えるような人は少し注意。
