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脳梗塞の基礎知識(1)そもそも脳梗塞ってどんな病気?

1.脳梗塞とは?

脳梗塞を簡単に言えば、「脳の動脈が詰まり脳細胞が死んでしまう」病気です。とはいえ、左右どちらの動脈が詰まったか、太い動脈と細い動脈のどちらが詰まったか、どの程度脳細胞が死んでしまったかなどで症状や重症度は千差万別です。 ちなみに、脳の血管が破ける病気は脳出血、動脈瘤が破裂することはくも膜下出血と言います。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を合わせて脳卒中と総称されます。

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2.脳梗塞の種類

脳梗塞には詰まり方によって、大きく分けて4つのパターンがあります。もちろん、正確にはより細かい分類がありますが、臨床を行ううえで重要なこの4つを覚えてもらえればよいと思います。ラクナ梗塞:脳の細い動脈が詰まるパターン。アテローム血栓性脳梗塞:比較的太い動脈の内腔が狭くなっており、そこに血の塊ができて動脈が詰まり脳梗塞となるパターン。心原性脳梗塞:心臓の中にできた血の塊が巡り巡って脳の動脈を詰めるパターン。その他:上記分類以外のパターン。

これらの分類は次のような模式図で表すことができます。そして、分類に応じて治療方針が違うため、検査を経て適切に分類することが必要になります。

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出典:国立循環器病研究センターホームページ

3.どんな症状が出るの?

脳梗塞の症状は多彩ですが、特に重要なものは次の4つです。片側の手足の麻痺、顔面が歪み動かない呂律が回らないふらふらして歩けない目が突然見えなくなる

多少の文言の違いはあっても、おそらくどの教科書にもこれらが特徴的な症状として記載されていると思います。私の経験上は、麻痺が出て驚いて救急車などで病院へ来るという場合がほとんどでした。重要なのが、これらの症状は多くの場合、突然発生することです。なお東北地方では突然起こることに由来し「あたる」と表現されるほどです。

4.予兆は無いの?

全ての例に当てはまるわけではありませんが、脳梗塞の予兆がある場合はあります。この状態のことを一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)と言います。2019年に日本脳卒中学会からの声明で「局所脳または網膜の虚血に起因する神経機能障害の一過性のエピソードであり、急性梗塞の所見がないもの。神経機能障害のエピソードは、長くとも24時間以内 に消失すること。」と定義されます。要するに、何らかの脳梗塞症状があるが24時間以内に消失し、画像検査でも病巣がわからない状態のことです。原因としては下記の状態が挙げられます。脳の動脈に一時的に血の塊ができたが自然に消えた。血圧低下などで脳の動脈の狭いところの血流が一時的に低下したが自然に戻った。

これらの状態は脳梗塞になる寸前の状態と言えるので、専門医による診察や検査が必要な状態です。

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