以下の処方で、外来服薬支援料2(一包化加算)は算定できる?
(処方例)
Rp1)シルニジピン錠10mg「サワイ」 1錠
ナトリックス錠1mg 1錠
(一包化)
分1 朝食後 28日分
RP2)フルバスタチン錠20mg「サワイ」 1錠
エスシタロプラム錠10mg「タカタ」 1錠
(一包化)
分1 夕食後 28日分
答え 表示
今回の調剤報酬算定項目「外来服薬支援料2」
処方箋に一包化の指示がある場合、製剤上の一包化可否を確認することは前提として、一包化する調剤行為に対して「外来服薬支援料2」を算定できる場合があります。ただし、「外来服薬支援料2」を算定できるのは、以下のどちらかの条件を満たす場合です。
①2剤以上の異なる用法で服用時点が重なっている場合

②1剤であっても3種類以上である場合

つまり、医師から一包化指示があって一包化を行っても、この算定要件を満たしていなければ「外来服薬支援料2」を算定することはできません。
根拠法令:14の2 外来服薬支援料 注3
多種類の薬剤を投与されている患者又は自ら被包を開いて薬剤を服用することが困難な患者に対して、当該薬剤を処方した保険医に当該薬剤の治療上の必要性及び服薬管理に係る支援の必要性の了解を得た上で、2剤以上の内服薬又は1剤で3種類以上の内服薬の服用時点ごとの一包化及び必要な服薬指導を行い、かつ、患者の服薬管理を支援した場合に、当該内服薬の投与日数に応じて算定する。
根拠法令:14の2 外来服薬支援料 通知2 外来服薬支援料2(3)
一包化とは、服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として患者に投与することをいう。なお、一包化に当たっては、錠剤等は直接の被包から取り出した後行うものである。
「外来服薬支援料2」の解説
一包化を行った場合、取れる加算は「外来服薬支援料2」ですが、算定要件を満たしていなければ算定できません。「外来服薬支援料2」には、「服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤又は1剤であっても3種類以上の内服用固形剤が処方されているとき、その種類にかかわらず服用時点ごとに一包として」とあります。クイズの処方例は、朝食後と夕食後の2剤が処方されていて「服用時点の異なる2種類の内服用固形剤」ではありますが、用法が朝食後と夕食後で重なっていないため「服用時点ごとに一包として」の部分を満たしていません。よって「外来服薬支援料2」を算定することはできません。

調剤報酬点数を計算してみよう!
具体的な例を用いて、計算してみましょう。
(処方例)
Rp1)シルニジピン錠10mg「サワイ」 1錠
ナトリックス錠1mg 1錠
(一包化)
分1 朝食後 28日分
RP2)フルバスタチン錠20mg「サワイ」 1錠
エスシタロプラム錠10mg「タカタ」 1錠
(一包化)
分1 夕食後 28日分
『シルニジピン錠10mg「サワイ」』の薬価は15.10円、『ナトリックス錠1mg』の薬価は10.10円なので、薬剤料は84点。内服の薬剤調整料は24点、内服の調剤管理料は15日分以上28日分以下の場合50点です。
『フルバスタチン錠20mg「サワイ」』の薬価は19.90円、『エスシタロプラム錠10mg「タカタ」』の薬価は60.00円なので、薬剤料は224点。内服の薬剤調整料は24点、内服の調剤管理料は15日分以上28日分以下の場合50点です。
一包化指示がありますが、算定要件を満たしていないため「外来服薬支援料2」は算定できません。
薬剤料と薬剤調整料と調剤管理料を合わせて計算すると、(84+24+50)+(224+24+50)=456点です。
注意!調剤報酬類似事例
以下の処方の場合は「外来服薬支援料2」が算定できるかどうか考えてみましょう。
①Rp1)アムロジピン錠2.5mg「明治」 1錠
(一包化)
分1 朝食後 14日分
Rp2)メトホルミン塩酸塩錠250mgMT「DSPB」 2錠
(一包化)
分2 朝夕食後 14日分
②Rp1)ムコダイン錠500mg 3錠
ムコソルバン錠15mg 3錠
アスベリン錠20mg 3錠
(一包化)
分3 毎食後 14日分
③Rp1)ムコダインDS50% 3g
小児用ムコソルバンDS1.5% 3g
アスベリンドライシロップ2% 3g
分3 毎食後 14日分
①の処方の場合:算定できる
朝食後と朝夕食後の2剤が処方されていて、「朝食後」の部分で服用時点が重なっているので「外来服薬支援料2」を算定できます。

②の処方の場合:算定できる
毎食後の1剤のみの処方ですが、処方された薬剤が3種類あるので「外来服薬支援料2」を算定できます。

③の処方の場合:計量混合調剤加算を算定する(算定要件を満たせば「外来服薬支援料2」を算定できる場合もある)
1剤で3種類の内服用固形剤には当てはまりますが、散剤なので「計量混合調剤加算」を算定します。「外来服薬支援料2」は一包化することだけが算定要件ではないため、散剤を一包化しただけでは「外来服薬支援料2」を算定することはできません。ただし、算定要件をすべて満たした場合には、「外来服薬支援料2」を算定できます。
(参考資料:令和6年版 保険調剤Q&A 2.薬学管理料 (14)外来服薬支援料 ②外来服薬支援料2 Q5)
Q 処方箋の指示により、1剤で3種類の散剤を計量し、かつ、混合して、服用時点ごとに一包化した場合には、計量混合調剤加算を算定するのか、それとも、外来服薬支援料2を算定することになるのか。
A 処方箋の指示の具体的内容及び患者の状態(治療上、一包化が必要か否か)にもよるが、基本的には、1剤で3種類の散剤を計量し、かつ、混合して、服用時点ごとに一包化した場合には、計量混合調剤加算を算定する。ただし、患者の状態が外来服薬支援料2の算定要件を満たしており、かつ、処方箋における一包化の指示が当該患者の状態を踏まえたものであることが明確である場合には、外来服薬支援料2を算定することができる。