心臓は体中に栄養を届けるポンプのような役割をしています。このポンプの力が弱まり足のむくみが起きてしまう病気が心不全です。
ここでは、心不全と足のむくみの関係性について解説しています。
足のむくみが心不全の初期サインとなる可能性
心不全になると心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液を送り出す力が弱まります。すると血液の流れが滞り、静脈と呼ばれる血管に血液が溜まりやすくなるのです。心臓から最も遠い足は、重力の影響もあり、むくみが特に現れやすい場所です。
「夕方になると足がむくみやすい」「指輪がきつくなる」といった症状は、心不全の初期症状である可能性があります。日中の活動で心臓に負担がかかり、夕方になると心臓のポンプ機能が低下してしまうために起こると考えられています、
心不全による足のむくみの症状や特徴
心不全による足のむくみは一般的に両足に見られ、夕方になると悪化する傾向です。指で押すとへこみが戻りにくいという特徴もあります。
心不全が進行すると、足だけでなくお腹や顔にもむくみが広がることがあります。心臓のポンプ機能が著しく低下し、体内の水分調節機能がうまくいかなくなるためです。

足のむくみ以外の心不全の症状とは?
心不全は、心臓のポンプ機能が低下することで、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。足のむくみ以外にもさまざまな症状が現れます。
代表的な症状としては動悸や息切れ、咳、疲労感、食欲不振、夜間頻尿などがあります。風邪や貧血など、他の病気でも起こることもありますが、心不全の場合は症状が徐々に悪化していく傾向なので注意が必要です。
心不全における足のむくみの改善方法
心不全の治療で足のむくみを改善するには、大きく分けて3つの方法があります。
- お薬を使った治療
- 水分を排出するお薬(利尿薬)
体の中に溜まっている余分な水分を尿として体の外に出すことで、むくみを改善させる薬です。 - 心臓のはたらきを助けるお薬
疲れた心臓をサポートすることで、むくみの原因となる血液の滞りを改善させる薬です。
- 水分を排出するお薬(利尿薬)
- 弾性ストッキングの着用
足首から太ももにかけて段階的に圧力をかけることで、足の静脈の血流を促進し、むくみを軽減します。特にふくらはぎは「第二の心臓」と言われており、足の血液を心臓に戻すのを助けるはたらきがあるため、有効な手段です。

- 生活習慣の改善
- 水分の摂りに注意
水分の過剰な摂取もむくみの原因となります。特に心臓の機能が低下している場合は、一度にたくさんの水分を摂取すると心臓に負担がかかるので、注意が必要です。 - 適度な運動
ウォーキングなどの軽い運動は血液の循環を良くし、むくみの改善に効果が期待できます。運動不足は心不全のリスクを高めるだけでなく、むくみを悪化させる原因にもなります。 - 塩分を控える
塩分の摂りは、体内の水分量を増加させ、むくみを悪化させる原因の一つです。以下に塩分をついつい取ってしまう方に向けた減塩のコツも紹介しています。
- 水分の摂りに注意
- 足首を回す
足首をゆっくりと回して、ふくらはぎの筋肉を刺激することで、血行が促進されてむくみが解消される可能性が高いです。 - 足湯
ぬるめのお湯(40℃くらい)に10~15分ほど足を浸けることで、血行が促進され、むくみが軽減されます。

- 足を高くして休む
就寝時や休息時には、クッションなどを使い足を心臓よりも高くして休みましょう。足の血液が心臓に戻りやすくなり、むくみの改善に効果が期待できます。 - 弾性ストッキング・弾性包帯
医師の指示のもと、弾性ストッキングや弾性包帯を着用することで、足の静脈の血流を促進してむくみを軽減できます。
腎不全と心不全のむくみについて
腎不全では朝方に顔が浮腫む、心不全は夕方に足が浮腫むと言われていますが、浮腫みから原因を考えていくことは、離床のリスク管理の上でも重要です。
心不全の方はわかりやすく、日中活動してれば、足を下げていることが多く、下半身の血管に溜まった血液が血管外に漏出(毛細血管内圧の亢進)するため、夕方に浮腫みが生じます。
一方で、腎不全で浮腫が起きる機序は、毛細血管内圧の亢進以外に、低アルブミン血症や血管透過性の亢進など、複数の要因が考えられます。ただ、シンプルに考えると、腎不全による浮腫の原因は、腎臓のろ過機能低下による、水分とナトリウムの貯留です。腎不全では、ろ過機能が低下し、水分とナトリウムの排泄が十分できず、体内に貯留することで浮腫につながります。夜間は日中に比べて排尿の機会が少なくなるため、水分とナトリウムの貯留が著明となり、さらに、寝ている姿勢によって体水分は上半身にシフトするため、顔に浮腫みが出やすいと考えられます。