緊張型頭痛はしめつけ感や圧迫感が頭の両側に起こることが多く、ズキズキする頭痛や感覚過敏は少ないといわれています。筋肉の緊張が原因の一つです。後頭神経痛という首の後ろで神経が圧迫されて後頭部に痛みが出る頭痛の一種が合併することもあります。
一方、片頭痛は、ズキズキする頭痛が頭の片側に起こることが多く、吐き気や嘔吐を伴い、音や光に敏感になり「静かな部屋で寝ていたいような頭痛」が典型的です。また、「月に何回頭痛がある」というように、数えられる頭痛という特徴もあります。
ただ実際には、緊張型頭痛と片頭痛は合併していることも多く、治療も一部共通しています。
まず頭痛が緊張型頭痛だけなのかどうかを考えます。片頭痛を合併していると考えられる場合には片頭痛用の薬が有効なことがあります。副鼻腔炎などのほかの病気が原因で頭痛が起こっている場合もあります。また、頭痛薬を使いすぎて逆に頭痛が悪化してしまっている場合もあります。
運動不足も緊張型頭痛を悪化させますので、適度な運動もおすすめです。また、仕事中の姿勢などの影響で首の筋肉に負担がかかっている場合は、ふだんの姿勢を改善することが緊張型頭痛の改善にも役立ちます。肩回りの筋肉のストレッチも有効なことがあります。緊張型頭痛の漢方治療は?
頭痛に使う漢方薬の中で一番有名なのは「葛根湯(かっこんとう)」です。首の後ろの筋肉がこわばっていて、温めると楽になる感じがある場合には葛根湯の効果が期待できます。1日3回飲んでもいいのですが、最初は症状が強いときに頓服的に飲んでみることをおすすめします。葛根湯が効きそうな頭痛だけど葛根湯を飲むと胃が痛くなったり血圧が上がったりするという方には「桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)」がおすすめです。「桂枝加葛根湯」は葛根湯に含まれる「麻黄」という生薬を抜いた漢方薬で、麻黄に敏感な方にはこちらを使います。
頭痛は昔から人々を悩ませてきたようで、頭痛向けの漢方薬もこれまでたくさん開発されてきました。保険適応のある漢方エキス製剤の中で、頭痛に適応のあるものは全部で30種類近くあります。そのうち、緊張型頭痛に対して頭痛薬のように頓服的に飲むのに向いているのは、葛根湯、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)の3つです。呉茱萸湯は片頭痛の漢方薬というイメージがありますが、緊張型頭痛にも効果があったという報告があります。また、川芎茶調散もさまざまな頭痛・顔面の痛みに使われています。
いずれも通常の治療と併用することができますので、お近くの漢方専門医のいる医療機関の受診をおすすめします。
- 頭痛の薬は、2タイプに分けられる
① 頭痛が起こった時に飲む薬
(とんぷく薬、トリプタン製剤、レイボー)
② 頭痛を予防する薬 - 週に2-3回の頭痛を感じたら「頭痛を予防する薬(予防薬)」を毎日飲む
- 頭痛がなくなったら、予防薬は中止してOK
- しかし、予防薬は半年間しっかり飲んでから徐々に中止した方が、頭痛が治りやすいので、予防薬はすぐにやめない方が良い
- 効いてない予防薬は、飲まなくてOK
頭痛のとんぷく薬(=痛くなりはじめに飲む)
- 頭痛の時に、「とんぷく薬」を使用
- とんぷく薬=痛み止め
- とんぷく薬は、どれを飲むか?よりも、「頭痛を感じたら早く飲む」ことが大切
- 代表的なとんぷく薬
– ロキソニン・ロキソプロフェン
– カロナール・アセトアミノフェン
– SG顆粒
– イブ・ブルフェン
– ジクロフェナク・ボルタレン
– ランツジールコーワ3錠
– ナイキサン3錠 - とんぷく薬は、効き方が人それぞれ
→どれが効くかは使ってみないとわからない - 1番効く人が多いのは、「SG顆粒」
- ロキソニンが効かない人でも、SG顆粒が有効の人が多い
- とんぷく薬がいずれも無効な人は、「トリプタン製剤」か「レイボー」を使う
- とんぷく薬やトリプタン製剤をたくさん飲むと、「薬物乱用頭痛=治りにくい頭痛」に悪化する
- 頭痛の回数が多い(週に2-3回以上)場合は、予防薬を飲んだ方が良い
トリプタン製剤とレイボー(=痛くなりはじめに飲む)
- とんぷく薬+トリプタン製剤+レイボー、を同時に飲んでも良い
- トリプタン製剤は、早めに飲んだ方が効く
→理想的には、「頭痛が起こりそうなとき」に飲んだ方が効く - トリプタン製剤一覧(先発品・ジェネリック)
イミグラン(錠・点鼻・皮下注射)= スマトリプタン
マクサルト = リザトリプタン
レルパックス = エレトリプタン
ゾーミック = ゾルミトリプタン
アマージ = ナラトリプタン - トリプタン製剤の副作用は、吐き気・ふらつき、など
- トリプタン製剤は、先発品(約300円)の方が、後発品(約100円)よりも効く人が多い
- 先発品が効けば、同じ成分の後発品へ変更し、コスパを良くする
- レイボーは、トリプタン製剤よりも副作用が少ない
- トリプタン製剤を飲みすぎる方が、とんぷく薬を飲みすぎるよりも、薬物乱用頭痛になりやすい
- トリプタン・とんぷく薬をたくさん飲む人は、予防薬の使用が望ましい