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痰切りの薬(去痰薬)の特徴や違いについて解説【ムコダイン・ムコソルバン・ビソルボン】

去痰薬(痰切り薬)とは?

カルボシステイン、アンブロキソール、ブロムヘキシンの違いのまとめ

去痰薬とは、気管支や肺から痰を排出しやすくするために使用される薬の一種です。「痰切り薬」として使用されることが多いですね。

痰は本来「異物が気道に侵入した際に外に出しやすくする」ために作られる物質です。異物はウイルスだったり花粉だったり様々ですが、異物はスムーズに外へ出されなければなりません。

そのために活躍しているのが、痰ですが、あまりに異物の量が多いと外にかえって出しづらくなったりしてしまうのです。そのため

  • 痰自体の性状を変えてさらさらにする
  • 気道を正常化させて痰が出しやすい環境にする

ようにして痰を出しやすくするのが、去痰薬(痰切り薬)なのです。

痰切り薬には「カルボシステイン(ムコダイン®)」「アンブロキソール(ムコソルバン®)」「ブロムヘキシン(ビソルボン)」の3種類があり、それぞれの特徴は上図のようになります。

では、順番にみていきましょう。

カルボシステイン(ムコダイン)の痰への効果は?

カルボシステインの主な働きは「痰自体を変化させ外に出しやすくし、気道の粘膜を正常化する」作用があります。(気道粘液修復薬)さらに、痰の量も抑える効果を持つのが特徴です。

痰は94%が水分で残りが「ムチン」という糖成分で構成されています。普段はムチンの中の「シアル酸」と呼ばれるムチンの割合が多くサラサラしていますが、ウイルスや細菌感染など気管支に異物が侵入すると「フコース」と呼ばれる成分が増加して、粘り気の強い痰に性状が変化します。

粘り気の強い痰は異物を絡めとるのには最適ですが、あまりに粘り気が強くなったり、外へ送るために必要な気道粘膜の「線毛」の運動が低下すると、痰そのものを外へ出すことができません。

そこで、カルボシステインの出番です。カルボシステイン(ムコダイン)は

  • 痰の「シアル酸」と「フコース」の構成比を正常化して、正常な生理的気道液に近い状態にする
  • 痰を外にだす「線毛運動」の機能を改善し、線毛細胞の減少を抑える

働きをもっており、痰をスムーズに外に排泄するのを助けます。

カルボシステインは特にタバコによる慢性気管支炎(COPD)に対して、多くの有用性が報告されており、効果も非常によく確認されている薬の1つです。

(参照:Mucoactive Agents in the Therapy of Upper Respiratory Airways Infections: Fair to Describe Them Just as Mucoactive? Clinical Medicine Insights: Ear, Nose and Throat. January 9, 2019

ちなみにカルボシステインは中耳炎に対してもよく使用されます。カルボシステインには耳管の粘液線毛輸送能を改善したり、粘膜を正常化し、中耳貯留液を排泄させる働きがあるからです。この働きはカルボシステイン特有のため、例えば「耳がこもった感じがする」という方はカルボシステインが適しているといえます。

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