鎮痛消炎薬の比較
成分 | 年齢制限 | 光線過敏症のリスク |
---|---|---|
ケトプロフェン | 15歳以上 | 特に多いため注意 |
ピロキシカム | 15歳以上 | 特に多いため注意 |
ジクロフェナク | 15歳以上 | 注意 |
ロキソプロフェン | 15歳以上 | 注意 |
フェルビナク | 15歳以上 | 注意 |
インドメタシン | 15歳以上(※一部、11歳以上) | 注意 |
サリチル酸メチル | 年齢制限なし | 副作用は全般的に少ないとされているが、注意は必要 |
サリチル酸グリコール | 年齢制限なし | 副作用は全般的に少ないとされているが、注意は必要 |
屋外での活動が多い子どもは、光線過敏症のリスクを踏まえた薬剤選択を
子どもの場合、頑張っているスポーツが屋内種目か屋外種目かを問わず、体育の授業や登下校などで直射日光を浴びる機会がたくさんあります。また、夏期には水泳の授業があるなど、部位を問わず全身に直射日光を浴びる可能性もあります。そのため、首や肘・膝といった露出しやすい部位に限らず、背中や腰、太ももといった部位であっても直射日光に曝されるリスクを考慮した薬剤選択が必要です。
この点を考慮すると、使用に年齢制限がなく、副作用の心配も少ない「サリチル酸メチル」や「サリチル酸グリコール」の鎮痛消炎薬1)を選ぶのが良いと考えられます。
※年齢制限がなく、子どもでも使いやすい鎮痛消炎薬の例
エアーサロンパスジェットα:「サリチル酸グリコール」のスプレー剤
ハリックス55EX冷感:「サリチル酸グリコール」の湿布
サロンパス:「サリチル酸メチル」の湿布(※オジサンが肩凝りに使うイメージは強いかもしれない)
なお、光線過敏症といえば「ケトプロフェン」や「ピロキシカム」による症例報告が多く2)、特に注意が必要な薬剤と言えますが、基本的にこれら特定の薬のみに限定されたリスクというよりは、 「ジクロフェナク」や「ロキソプロフェン」「フェルビナク」なども含め外用の鎮痛消炎薬全般に共通したリスクである3)ことを前提に考える必要があります。商品によっては「直射日光を避けること」と記載されていないものもあるため、注意が必要です。
11歳以上であれば、一部の「インドメタシン」製剤も選択肢になる
「サリチル酸メチル」や「サリチル酸グリコール」も、プラセボとの比較試験で軽度~中等度の筋骨格痛に効果が示されている薬です4)。しかし、その鎮痛効果はやさしめで、他の一般的なNSAIDsには及ばないとされています。そのため、筋肉痛や捻挫の痛みが強めの場合には、もう少し強力な鎮痛消炎薬を提案することも考えます。
このとき選択肢になるのが、「インドメタシン」の製剤です。内服薬も含め、鎮痛を目的にした商品の大部分が15歳未満には使用できないなか、一部の「インドメタシン」製剤は11歳から使用することができ、便利です。
※11歳から使える「インドメタシン」製剤の例
サロンパスEX、バンテリンコーワ液EX/クリームEX
NSAIDsとサリチル酸グリコール、サリチル酸メチルの作用の違い
NSAIDsとは、非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれるもので、痛みや炎症のもととなるプロスタグランジンの生成を抑えることにより、痛みを和らげたり、炎症を抑えたり、熱を下げたりする作用があります。
サリチル酸グリコールとサリチル酸メチルには、冷たさによって皮膚表面の感覚を鈍らせることで、痛みを和らげる作用があります。
特にインフルエンザ脳症、アスピリン喘息を引き起こす可能性のある「NSAIDs」という成分を含む湿布は禁忌とされ、アレルギーや光線過敏症のリスクもあるため注意が必要です。