
エスゾピクロン(商品名:ルネスタ)は、非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬になります。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べると、エスゾピクロンは睡眠にしぼって作用します。
このため筋弛緩作用が少ないためにふらつきが少なく、耐性がつきにくいために依存性が抑えられています。
エスゾピクロンの特徴は、その効果の早さになります。作用時間が短く、翌日に眠気が残りにくい睡眠薬になります。
このためエスゾピクロンは、
- 入眠障害
に使われることが多い睡眠薬になります。
エスゾピクロンは、ゾピクロン(商品名:アモバン)を改良して作られたお薬になります。
ゾピクロンの成分をよく調べると、睡眠薬としての効果の大部分は、S体(光学異性体)と呼ばれる半分であることがわかりました。
このS体だけを取り出したのが、エスゾピクロンになります。
これによって、ゾピクロンで問題になることが多かった苦味の副作用が軽減されています。
ルネスタの用法と作用時間
- 用法:1日1回就寝前
- 最高用量:3mg(高齢者は2mg)
- ルネスタは健忘の副作用があるため、就寝直前に服用
ルネスタの副作用の対処法
睡眠薬では、作用時間によって注意すべき副作用が異なります。
- 作用時間が長い睡眠薬・・・眠気・ふらつき
- 作用時間が短い睡眠薬・・・健忘・依存性
睡眠薬の眠気が翌朝に残ってしまったり、筋弛緩作用が日中に働いてしまうことがあります。
それに対して作用時間が短い睡眠薬は、薬が急激に作用するということになります。
このため中途半端な覚醒状態となってしまって健忘(物忘れ)が認められたり、お薬の急激な変化に体が慣れようとしてしまうことで、依存が成立してしまうことがあります。
ルネスタは作用時間が短いお薬ですので、健忘や依存性に注意が必要です。
そしてルネスタ特有の副作用として、翌朝に残る口の中の苦味があげられます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
健忘の対策としては、
- 寝る直前に睡眠薬を服用すること
- 絶対にアルコールと一緒に睡眠薬を飲まない
になります。

ルネスタと苦味
ルネスタを服用すると、翌朝に口の中に苦味が残ることがあります。
お薬自体が苦いというわけではなく、翌日に苦味が続いてしまいます。
苦味が生じる理由はよくわかっておらず、何らかの苦み成分が唾液から分泌されていると考えられています。
唾液ではなくて、味を感じている味蕾細胞の周囲の血流から感じているともいわれています。
からだの内部からの苦みとも考えられているため、うがいをしても変化がないことが多いです。
ルネスタで苦味が認められた場合の対処法としては、
- 我慢して様子をみる
- ルネスタを減量する
- 他の薬に変更する
という方法があります。
ルネスタの元となったアモバンの方が、苦味の副作用は目立ちルネスタでは、苦味のために服用が困難になることはそこまで多くはありません。
ルネスタの反跳性不眠(離脱症状)と減薬方法
ルネスタは長期間にわたって使っていると、お薬があることに身体に慣れてしまいます。
その結果、お薬としての効果は薄れているのに、薬を減らすと不眠が強まってしまうことがあります。
このような状態を反跳性不眠といいます。睡眠薬の離脱症状とも言えます。
「睡眠薬がないと眠れない」と勘違いしてしまうことが多いのですが、薬がやめられないのは反跳性不眠が原因であることも少なくありません。
このような状態になると、睡眠薬の量は増えないけれどもやめられなくなってしまいます。
このことを、常用量依存といったりします。
ルネスタは超短時間作用型の睡眠薬ですが、このように作用時間が短い睡眠薬では、反跳性不眠は起こりやすいです。

- お酒に頼る
- なるべく早く寝る
この2つは不眠を悪化させてしまいます。お酒は寝つきを一時的に良くしてくれますが、睡眠の質を落としてしまいます。
また、なるべく早く寝てベッドで粘っている方もいらっしゃいます。
ベッドでゴロゴロして眠れない時間をすごすことは、「なかなか眠れない」という失敗した認知を強めてしまいます。
むしろ睡眠時間は、ギリギリまで絞ってしまったほうがよいです。
そして眠れないときは、粘らずに睡眠薬を使ってしまったほうが不眠はよくなります。
睡眠時間を5~6時間にしぼってデッドラインを設定し、その時間までは自然な眠気が生じたらベッドに入るようにしていきます。
その際にお薬を使っていただき、それでも眠れなければ頓服をすぐに使ってください。
このようにして、ベッドに入れば眠れるという認知を作っていくことが大切です。