ジャディアンスとは、2型糖尿病治療薬の1つで、有効成分はエンパグリフロジンです。
糖尿病治療薬の中でも「SGLT2阻害剤」に分類される飲み薬で、体内の余分な糖分を尿とともに排泄させて血糖を下げることができます。

SGLT2(血液に糖を運ぶ物質)の働きをブロック
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ブドウ糖が血液に再吸収される量を減らす
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再吸収されなかったブドウ糖を尿とともに排泄させる
日本では2015年に使用されるようになり、最近では「飲むだけで痩せられるダイエット薬」として痩身治療でも注目を集めています。
そんなジャディアンスのダイエット効果について、以下で詳しく解説していきます。
ジャディアンスで痩せる?ダイエット効果とは
ジャディアンスは、日本人および外国人216名を対象に行った臨床試験からダイエット効果が得られることがわかっています。
臨床試験は1日あたり10mgと25mgの2つの用量で行われ、そのうち日本人はそれぞれ43人、45人が参加しています。
24週間の服用による体重減少効果
- 10mg:-1.93kg
- 25mg:-2.15kg
このデータは食事や運動療法を行ったにもかかわらず、血糖値をコントロールできない人のデータです。
つまり血糖値に異常が認められない健康な方であれば、食事や運動に少し気を付けるだけで更なる体重減少が期待できる可能性があります。
また上記の試験は、延長試験により52週にわたって服用した場合でもダイエット効果が持続していたことがわかっています。
以下でジャディアンスでのダイエットについてさらに詳しく解説していきます。
どのくらい痩せる?1日のカロリー排出量
ジャディアンスの服用により、1日あたり60~100gの糖分が尿とともに排泄されます。
これをカロリー換算すると、以下のようになります。
ジャディアンスのカロリー排出量
- 1日あたり:約240kcal
- 1ヶ月あたり:約7,200kcal
体重1kgを落とすのに必要な消費カロリーは7,200kcalほどなので、1ヶ月ジャディアンスの服用を続けるだけで1kg弱は減量できる計算です。
ちなみに体重60kgの人が1ヶ月で1kg落とすには、ランニングだと120kmほど走る必要があります。

毎日4km走る計算になり、継続するのは大変だと感じる方も多いでしょう。
その点、ジャディアンスは服用するだけなので、無理なく効率的に理想の体重に近づけていくことが可能です。
ジャディアンスで効果を実感できる期間は?
ジャディアンスには体重減少効果があるものの、服用後すぐに効果が出るわけではありません。
前述した臨床データも踏まえると、少なくとも数ヶ月~半年は服用を続ける必要があります。
また、必ずしも「体重が減る=体脂肪が落ちる」ではありません。
一般的に体重が落ちるというのは、以下のいずれかの組み合わせが減少していることを指します。
体重減少時に減るもの
- 脂肪
- 筋肉
- 水分
ここでポイントになるのが、筋肉です。
筋肉は基礎代謝(自然に消費されるエネルギー)に関係しているため、筋肉量が落ちてしまうと「痩せにくく太りやすい体質」へと身体が変化します。
そのため、ジャディアンスによる治療後のことも考えると、あわせて筋トレなどの運動を取り入れてダイエット後の体重をキープするための身体づくりも大切です。
ジャディアンスが向いている方
ジャディアンスを使った痩身治療が向いているのは、以下のような方です。
体重減少時に減るもの
- 食事量のコントロールが難しい方
- 炭水化物中心の食生活の方
- 甘いものを口にする機会が多い方
- お酒をよく飲む方
ジャディアンスは食事から摂取した余分な糖質をカットできるため、糖質制限に近い効果が得られます。
そのためご自身の食生活を一度振り返り、特に糖分の摂りすぎに思い当たる節がある方にはおすすめです。
ジャディアンスの服用方法
ジャディアンスの服用方法については、以下を参考にしてください。
服用方法
1日1回1錠、朝食前または後に服用
服用1回あたりの用量は10mgが一般的ですが、効果が不十分である場合には医師の判断により25mgまで増量することが可能です。
また毎日の服用ではなく、炭水化物を多く食べる前に頓服薬として服用することもできます。
なお、25mg以上を一度に服用しても効果が高まらず、副作用のリスクが増すおそれがあります。
現在の食習慣なども考慮し、医師と相談しながら適切な用量の服用を心がけてください。
次に以下でジャディアンスの服用について詳しく解説します。
ジャディアンスの服用について
ジャディアンスを朝に服用する理由
ジャディアンスを朝に服用する理由は、薬の作用により余分な糖分を排泄するため尿量が増加するためです。
就寝中にトイレで何度も目が覚めて睡眠を妨げてしまわないためにも、朝に服用するのがベストなタイミングになります。
また、飲み忘れた場合、その日の服用はスキップしてください。
翌日は通常どおり服用を続け、飲み忘れた分をまとめて服用するのはお控えください。
ジャディアンスを服用するなら朝食は食べないのはNG?
ジャディアンスを服用するのであれば、朝食は食べるようにしてください。
寝ている間は空腹状態が続き、身体も省エネモードに切り替わっています。
そのため何も食べずにジャディアンスを服用してしまうと、低血糖や水分不足による脱水症状を起こすリスクが高まります。
また、ダイエットを始める人は、1日のうちどこかの食事を抜こうとすることがありますが、これはおすすめできません。
食事を抜くと次の食事までの時間が長くなり、空腹からドカ食いにつながりやすくなります。
空腹が長く続いた後に急激に食べ物を摂ると、血糖値が急上昇して太りやすくなる可能性があります。
「食べることもダイエット」になるので、軽めでも構わないので朝食は積極的に摂るようにしてください。
ジャディアンスの副作用
ジャディアンスの副作用は、以下の通りです。
主な副作用
- 尿路感染(カンジダ症、トリコモナス症、細菌性膣炎)
- 高血脂症
- めまい
- 便秘
- そう痒症
- 頻尿、多尿、排尿困難、尿量増加
- 口の渇き
- 空腹感
など
薬の作用により尿中に糖が含まれるため、糖をえさに増殖する感染症の発症や症状の悪化が起こることがあります。
特に女性は、自己感染による再発を繰り返しやすい「カンジダ症」には注意が必要です。
また、尿量の増加に伴って水分や余分な糖が排泄されることで、口や喉の渇きを覚えることや、低血糖の症状が現れることがあります。
低血糖症状
⇨ 空腹感、動悸、ふらつき、脱力感、めまい、頭痛、冷汗、ふるえ など
こまめな水分補給を心がけ、低血糖症状が現れた場合には十分な量の糖分(砂糖やブドウ糖を含む清涼飲料水)を摂取し、治療継続については医師と相談するようにしてください。